天候不良続きで予定が遅れていた芭蕉は、次に目指す尾花沢市の旧友のもとへと急ぐため、当時の一般的な峠道は選ばず、近道である山刀伐(なたぎり)峠を越えます。
標高は470Mとさほど高くはなく、峠の形状が山仕事や狩りの際に被った「なたぎり」に似ていることから名付けられたものですが、しかしこの峠、人はもちろん鳥の声さえ聴こえないような足場も悪い原生林で、追いはぎや山賊が住んでいることで有名な山なのでした。
「高山森々として一鳥声きかず、木の下闇茂りあひて、夜行くがごとし……」
――『奥の細道』にもこのように書かれています。
そこで、「封人の家」の当主・有路氏が、道案内も兼ねた屈強の若者を護衛に付けて送り出します。
こちらは北側の入り口(最上町)。
現在は駐車場もあり、道も整備され散策することもできますが、昔と違って追いはぎや山賊はいなくとも、森の熊さんが……昔もいたのかもしれませんけども。
後に道案内した若者も、「この峠道では必ず予期しないことが起こるのです。今日は何事もなくお送りすることができ、とても幸せです」と言って芭蕉たちと別れたそうです。
芭蕉も、「今日こそ必ず危険な目に遭いそうだな」と、辛い思いをしながら後についていったようです。
峠を越えてからも、しばらく胸の鼓動はやまなかったとあります。
体力的以上に精神的に大変だったことが偲ばれますね。
尾花沢市の「道の駅」で一目ぼれしたお土産。
駐車場前の山刀伐トンネル前(国道47号線)の可憐な一輪のひまわり(撮影:去年の8月末)。
国道を南下し、南側の入り口へやって来ました(ここから尾花沢市)。
実は、UFOの基地があると昔からささやかれている田代峠もこの近くです。
尾花沢市は山形県内でも特にUFOの目撃が多い地でもあります。<過去記事 ⇒ コチラ>
芭蕉も見てた……かもしれないですよね。
← 確かに多すぎ(笑)
ところで今日7月2日は、「半夏生(はんげしょう)」です(ロズウェルにUFOが墜落した日でもあり)。夏至(今年は6月21日)から11日目のことをいうのですが、芭蕉が7月2日までに尾花沢市の旧友のもとへ急いだ理由として、この半夏生が関係していたようです。尾花沢市周辺は紅花の産地として有名で、その紅花が最初に咲く「半夏一つ咲き」を見るためだったようですが、その日というのが7月2日。しかし、芭蕉が旧友のもとへ到着したのは7月3日……だったのですが、なんと、その年はまだ咲いておらず、咲いたのは芭蕉が到着した7月3日だったというのです。なんということでしょう! 紅花はちゃんと芭蕉を待ってくれていたのですね(^^)。
山形の県花・ベニバナ/<雅称>末摘花(すえつむはな)