――ある夜、蜂子皇子の夢に、羽黒山の神が観音様となって現れ、
「あなたは厳しい修行を続け、多くの民を苦しみから救っています。これからも人々を導きなさい」と告げると、ヤタガラスに姿を変えて、雪に覆われた大きな山へ飛んでいきました。
夢から覚めた皇子は、雪解けを待ち、その後、その山の頂を目指します。
ようやく頂上に辿り着くと、そこは極楽浄土のように黄金に輝く世界でした。
すると、亡くなった人全てをあの世へ導くという阿弥陀様が目の前に現れました。
皇子は、「ここは夜と死の世界を司る月の神がいらっしゃるところだ」と悟り、
この山を『月山(つきのやま/一般にはがっさん)』と名付け、後にお堂を建てて、
『暮礼山月山寺(ぼれいざんがっさんじ)』と呼びました。
月山
更に進むと、谷の下に光り輝く場所があり、道が険しく近づけません。
困っていると、突然小さな光が現れ、導いてくれます。
皇子は光に向かって一心に祈りました。
光は次第に大きくなって、皇子を包み込み、ついに炎のように熱くなって、
皇子の悩みや苦しみ、罪などを焼き払います。
ふと見上げると、目の前に光と再生を司る光り輝く大日様が立っていて、
【火の玉】と【水の玉】の宝珠を皇子は授かります。
そして、大きな岩が光り始め、お湯が湧き出しました。
この山は生まれ変わりの山だと悟った皇子は、『湯殿山(ゆどのさん)』と名付けました。
・・・出羽三山の開祖は蜂子皇子であるとされたのも羽黒山側の主張が強かったからで、
湯殿山は奥の院として敬われることとなったようですが、湯殿山側では今でも、
出羽三山は弘法大師・空海が開山したと信じている方々もいるようです。
勢力の強かった羽黒山では、明治初年の神仏分離令までに神は仏が化身したものとして、
両者を融合した本地垂迹の思想が根付いていました。
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山霊 垂迹神 本地仏
月山権現 月読命 阿弥陀如来 羽黒山権現 伊氐波神 聖観世音菩薩 稲倉魂命 湯殿山権現 大山祗命 大日如来 大己貴命 少名彦命
・・・神の声を聞きながら人々を救う人の話も、世界中で結構耳にしますね。
キリスト、モーゼ、ジャンヌ・ダルク、マザー・テレサ……。
【火の玉】と【水の玉】の宝珠も気になります。
UFOに乗ったりんご農家の木村さんも、丸い宝珠のような玉(イメージ↓)をもらったことがあるそうです。すぐに消えてしまったそうですが……。
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