波がくる
波がくる
遠くて近い身体の中から
遥かに遠い隣から
満ちる満ちる満ちていく

聴いたことのある旋律が
微かな隙間からもれ聞こえ
そこから染み出す光の粒子
押し広げこちらへ向かい
満ちて伸びゆく一本の月の道

やがて来る更なる圧倒的な何か
向こうの光が輝きを増す強く
そして押し寄せる

溶けて伸びたべっこう飴のような時
飴越しの光は暖かい黄色味を帯びて
明るく優しく全てに広がる
その優しさとは裏腹に押し寄せるチカラ

あの向こうには全てがある
心からそう思える。確信。
そこから来る。やってくる。奔流

私の全てが光の中に飲み込まれる
今、私は光そのものとひとつになる
全身を駆け巡る 幸福
その中にあるメッセージ
つかみ胸にしまう。

さぁ今

私は受け取る
類なき希望
光が見送る
私に託される


外の空気に驚く娘の
苦痛の声が聞こえる
大丈夫。怖くない。
私がここにいる。



長女を妊娠中、世界中に聞こえるほどに
ドアを激しく叩く音を聞いた。
出産予定日の2週間前。
何?と身体を動かしたら破水そして陣痛
助産院に行く間も無く頭が出てくる
慌てて駆けつけた母と旦那さんが
助産院に連絡するも間に合いそうもない。
そしてもう動けない。
自分で産む覚悟を決める

その時見たのがあの光。
光とひとつになった時
確かに自分は全ての中にいた。

あれから時が経ち長女も成人し
閉じ込めてた封印をといたら
あの黄金色の光が身体から溢れ出した
あの光は私の一部であり全てでもある。