いつもありがとうございます。瀬谷松栄塾田中です。
過去にも「オール3は平均ではない」という内容の記事をいくつか書いており、それまでは「保護者の方の認識と現実のギャップ」というイメージでいたのですが、最近そのイメージが変わってきています。
それは、「生徒自身がオール3をそんなに悪いものだと思っていない」というもの。たとえば、中2末でオール3なら、頑張れば瀬谷高校くらいには行ける、という認識。でもそういった子って、まず「頑張る」の解像度が低く、それを実施することはたいてい不可能です。(というかそれができる子はそもそもオール3にとどまらないように思います)
実際、中2の後半ごろになり、いよいよ受験が見えてくると、「今から本気を出せば間に合う」という話がよく出ます。
けれど現実には、中2後半で成績を伸ばすのはそれなりの条件があります。その条件というのは、まず「学力という点でその時点でのつまずきがないこと」。オール3程度の生徒だと、その条件がかなり厳しいように思います。
理由は単純で、受験学年が近づくほど周りも同じように勉強し始めるということと、積み上げ教科は土台がなければ戦えないのでつみなおしの時間がかかるという現実的問題。その間、自分より上位の子たちの学習が止まってくれるわけではありません。
しかも、基礎学力がある子の1時間と、まだ土台が不安定な子の1時間は、勉強の質が違います。
前者は演習量が積めて修正も回ります。
後者は読む・計算する段階で止まり、直し方が分からず、結局「やったつもり」になりやすい。この2時間で何を学べたのか、が明確に答えられないケースもざらです。
つまり、時間をかけても点に変わるまでが圧倒的に遅いのです。しかも自己評価が現実より高いので、ここで「週1回教わって、あとは自分でやる」というように、「自分に期待しすぎる」という傾向があります。できないんですよ。だってわからないことを調べる習慣がなかったり、調べてもひとりで理解することが苦手であるはずなのだから。(それができるならそもそもある程度平均以上にいるので)
実際、転塾で来る子の中には、中2の冬でも分数計算が怪しいまま、方程式ができないまま、というケースが普通にある。
(これマジでわからないんですが、個別指導塾で数年通ってもコレ、でも転塾してきたら即できるようになる、ってザラにあるんですが、なんで?いったいどういう教え方しているのか、そしてそれは室長気付かないものなの?)
こうなると、受験対策の前に穴埋めが必要になる。だから短期間で上げ切る設計が難しくなる。
カナガクの「合格可能性60%の内申(135点満点)」を見て、当塾から通える範囲の学校を拾うと、
たとえば内申75の帯に県商工・神奈川工業・保土ヶ谷高校、
内申77の帯に二俣川高校福祉・座間総合、
内申79の帯に上矢部・大和南・白山・緑園が並ぶ。
もちろん学校ごとに特色も違うし、当日点の影響もある。
オール3の場合の内申が81なので、オール3に満たない場合の公立の選択肢は上記の高校が基準になってきます。
一方で私立は、話がもう少しシビアです。
特に「併願」にすると一気に選択肢が薄くなります。
通える範囲に絞ったうえで、基準に加点を含めて「この内申帯でクリアできる学校」を数えると、最低ライン付近ではこうなります。
モデル成績 5科で13 9科で25(内申75レベル)
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専願(単願):男子で約6校、女子で約6校(女子は内申実質不問が別で1つ)
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併願:男子で約3校、女子で約3校(女子は内申実質不問が別で1つ)
しかもこれ、1が1個でもあるとダメになる高校がほとんどです。
同じ「オール3前後」に見えても、併願を前提にした瞬間に、カードが半分くらいに減っていきます。東京まで範囲を広げればもう少しありますが、無償化の対象としての条件から一部はずれたりするので現実的ではないかもしれません。
もし「中3から本気」という設計を組むと、現実に選べるルートが細くなっていきます。
だからこそ、「今すでに怪しいな」と感じている場合、あるいは中1時点でオール3前後にいる場合は、転塾も含めて戦略を練り直した方がいいように思います。塾の先生に「このままだと、どういうルートをたどりそうか」を聞くのもアリです。
ここで大事なのは、慰めではなく受験までのルート設計です。
どの内申帯を目標にするのか、そのために何を優先して埋めるのか、週の学習回数と内容をどう組むのか。
これが曖昧なままだと、「とりあえず頑張る」になって、結局間に合わない。
そして、もし中2の終わりにこの事実に気づいたのなら、目標の置き方も見直した方がよいと思います。
まず、高校入学を第一目標に固定しない。
高校卒業後の出口まで含めて考える。
どの高校なら三年間を安定して積めるのか。
部活や通学時間を含めて生活が回るのか。
高1でつまずかないか。
入ってから伸びるルートを優先することも必要です。
例えば、「数学は今からやっても間に合わないから、戦略的に他の教科に全振りする」みたいな話はたまに出てきます。個人的に英語はまだありかな、と思うけれど、数学はなしです。中学数学の基本問題くらいで躓いていたら、高校で点数は取れません。
いわゆる偏差値が低い学校って、勉強ができないわけじゃなくて真面目に勉強しなかった・取り組まなかったってだけの子わりといるんですよ。その子たちって、その高校のレベルであれば予習復習なんてしなくても普通に点が取れる。だから想像以上に漫画にあるみたいなほどの低レベルな授業ってやっていないのです。
宮下あきら.魁!!男塾3.集英社,1986,p.12
受験は、根性で押し切るイベントではなく、設計の勝負です。
気づけた時点で、まだ打てる手はあります。
今いる場所から現実的に届くルートを作り直して、そこに全力を注いでください。
福本伸行.賭博破戒録カイジ1巻.講談社



