今回の電王戦はいろいろあったように思う。

第一戦 斉藤慎太郎五段vsAprey

斉藤五段の快勝だったが、王手ラッシュや最後の最後まで打つコンピューター側

に対して鈴木大介八段の、棋士としての美学、プロは『棋譜を残すのが仕事』

その後、木村一基八段の「コンピューター将棋そういうもんでしょ」

というフォロー。

まさにその木村八段の言う通りだとおもった。開発者にも開発者なりの美学があり、

それを侮辱するかのような発言を公にするのはどうかと思った。

当人は勝つときはそうなると知っていたため

見事冷静に勝ち、すばらしい勝利を飾ったと思う。


第二戦 永瀬拓也六段vsSelene

永瀬六段の角ならずの王手にSeleneは角ならずにプログラム上対応しておらず

王手放置にて永瀬六段の勝利。飛車、角、歩成らずに対応していないようだったが、

どこまで対応していないのか、谷川会長の歩詰めをさけるための角ならずを知っていれば、

そんなプログラミングをしなかったのではないだろうか。完全にプログラムミスだったし、

それをついた見事な勝利だったと思う。

形勢はプロ側はもともと勝ちは決まっていてのことだから言っていたが、

二つのコンピューターの評価値はコンピューター優勢だったし、

永瀬六段当人も、自分では優勢なはずだが、本当に寄っているかどうかはわからないし、

コンピューターがこの形に乗ってきたところから不安があると言っていた。

個人的にはこの状態が本当に寄っているかどうか歯切れが悪いところを、

コンピューターに幾度もつかれて負けていることをしっかり認識するべきだと思った。

ただ、勝利した永瀬六段はすばらしかったし、

負けに対して真摯な対応をする西海枝さんもすばらしかったと思う。


第三戦、四戦、

あまりみれなかったのだが、コメントでこんな弱い稲葉さんみたことないみたいな

コメントとかあったけれど、そんなことはなく、確かにコンピューターは強いのだ。

それはおそらくどんな棋士も認めてるし、羽生さんでさえも、

真剣に対策を練らなければ勝てないといっている。

おそらく、解説や、評価値など形勢がとても視覚的になっているし、

勝って欲しいという思いからのコメントだと思うが、

公の場でコンピューターと戦うことを引き受けたことだけでも

自分は大変評価できると思う。


第五戦 阿久津主税八段vsAWAKE

開始二時間待たすに終わった。

AWAKEが打った角が取れるということによって形勢が大幅に阿久津八段有利になる。

というところで、開発者巨瀬さんからの投了。

これはアマチュアのAWAKEに勝ったら100万円チャレンジで、見事にAWAKEに勝利した

戦法。コンピューターのランダムせいなどにより必ずそうなるとは限らないのだが、

まさにコンピューターには一手一手読み直すので、超手数先の得失が苦手という欠点を

見事に突いた作戦だと思う。

巨瀬さんはプロはこの戦法を使わないと思っていたみたいだし、コメントでも、スポンサーが

どうのとかあったが、どちらも必死な状態でやっているからこその事態でだからこそ

面白いのだから、この結果を真摯に受け止めるべきだと思う。



電王戦が始まったときの米長さんのことを思い出す。

見事、人間側は力を合わせて現段階のコンピューター側には欠点があるということを証明したのだと思う。

それは一つプロ側の大きな勝利だと思う。

これに対して不服を言うプログラマーがいたらそのプログラムはそこまでだと思う。

クラスタリングによって補えたりするかもしれないが、現状プログラミングの進化を考えるならば

何とか更なる飛躍をして欲しいと思う。

ただ、このレベルにならないとこの欠点を証明できなかったのだから、

プログラマーは大きなものを得たのではないかと思う。

これからの将棋、コンピューター将棋を楽しみにしています。


棋士の皆様開発者の皆様

関係者の皆様

お疲れ様でした。