第32回社会福祉士国家試験を解説してみた~問21 構築主義 ラベリング論 | 福祉 介護の勉強ブログ

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まずは、人が言葉に発しないと、伝わらないし、わかりませんよね・・・「これは、ひどい事件です」と聞けば、そうなるし・・・「ほのぼのしますね」と聞けば、そうなるし・・・言葉の力で世の中は作られていきますよね・・・

 

 

社会理論と社会システム

 

 

 

問題21 社会問題は,ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。

 

1 社会統制論

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「社会統制・・・社会をコントロールするといったことか・・・反応を通じて作り出されると問題文にあるが、今一つ、社会統制とは繋がらないな・・・この選択肢は違うとしよう」

 

 

(調べてみた)

社会を統制する際には、良い事をするために、悪いことをさせないために、報酬や罰則が必要ですね・・・本来は・・・でも

ロスさんは、ちょっと違いました・・・

 

社会統制論

アメリカの社会学者E.A.ロスさんによって創られ、『社会統制論』を書きました。

 

『社会統制論』で、ロスさんは「秩序は、どのような、社会的影響から作られるのか」といった内容を序文で言っています。この本は、秩序の形成に、どのようなものが影響を与えているのかを論じています。

 

社会統制の手段では、その社会内で役立つような行動には、報酬・表彰があります。逆に、ルール違反、犯罪といった行動には、罰則を与えます。このようにして、社会の秩序を保とうとします。

 

ロスさんの、『社会統制論』(1901)では、心理的側面を重視し、教育・道徳・宗教等から生じる、心情を重視した社会統制の大事さを説きました。外発的動機でなく、内発的動機で秩序を守るべきと・・・いいたいのですね。

 

 

2 緊張理論

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「これが正答なような・・・クレイム申立てとそれに対する反応・・・クレイムが来ると、その相手は緊張しますよね・・・ちょっと短絡的なだけど、これが正答か・・・」

 

(調べてみた)

緊張理論、中々、わからなかったのですが・・・

 

緊張理論

マートンのアノミー論では、目標を達成しようとしても、その方法が無いと、犯罪・自殺・アルコール中毒・売春とった逸脱行動に向かうと説きました。このマートンのアノミー論を緊張理論と呼びます。

 

「私の解いてみた」は全然違いました。「クレイムがくると、緊張する」そんな話ではありませんでした。目的と手段が結びつかない社会の状態を緊張状態と捉えています。

 

 

3 文化学習理論

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

社会問題は(略)クレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出される・・・と文化学習理論という言葉とはつながらないような気がします・・・この選択肢は違うとします」

 

(調べてみた)

文化学習理論

犯罪・非行といった逸脱行動は、環境の下、学習することで発生するといった理論です。

 

親が子どもに、万引きを教える・・・近所に暴走族の先輩がいたから暴走族に入り、暴走行為をする・・・今でもこんな事はあります

ますよね。

 

 

4 構築主義

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「構築・・・物を作る、仕組みを作るといった意味ですよね・・・を通じて作り出されるという捉え方・・・とありますね・・・作り出すという言葉があるから・・・一応これも候補にします・・・保留」

 

 

(調べてみた)

構築主義

社会で起こる様々な事、社会にあるすべての事は、言葉を通じ、みんなに認識されることによって、構築されるという考えです。

 

「地球は回っている」とガリレオは言いました。今では、みんなそう思っています。実際に回っている事を体感したことはありませんが、私たちの認識では、「地球は回っている」となっています。そして、それが真実となっています。

 

問題文での、「社会問題」も、誰かが、「これは問題だ!解決すべき!」と言葉にし、皆が同じように「問題だ!」と認識されると、社会問題とみなされるわけです。

 

言葉によって、皆に認識されることで、物事は作られる(構築)の

ですね。嘘でも皆が信じれば、真実・現実になってしまうのです。

 

 

5 ラベリング論

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「ラベリング論・・・『あの人は昔、泥棒だったから、あまり付き合わないようにしよう・・・』と泥棒をしたことがあるから、また、悪いことをする人と決めつけることですよね・・・この選択肢は違うかな・・・」

 

 

(調べてみた)

ラベリング論

あの人は、「〇〇な人」とみなすことです。ラベリング論では、その人の過去の行動を原因として、その人の人間性や性格を決めてしまいます。そして、そのようなラベルを貼られてしまった人は、そのように振る舞ってしまう傾向があります。

 

「あの人は刑務所にいた人だから、〇〇な人」

「あの人はボランティアに熱心な人だから、〇〇な人」といったで

〇〇の部分は、人それぞれです。

 

ラベリング論と似たものがあります。それは、スティグマ(烙印)と言われるものです。これも、人を決めつけるものです。これは、人を悪く言うときになります。違いとしては、ラベリング論はその人の行動が原因となります。スティグマは、本人では変えられない性質、環境によって、決めつけられてしまいます。

「あの人は外国人だから、〇〇な人」

「あの人は片親だから、〇〇な人」と、自分ではどうすることもでき無い事で、決めつけられてしまいます。

 

 


「2」と「4」が残りました・・・解決されるべき問題があって、その申し立てに、緊張感が生じることで、社会問題として、みんなに捉えられるのでは・・・


 

 

 

私の答え  「2」   正答は「4」

 

     

 

この問題は難しいのでは・・・でも、5のラベリング論だけは選んではだめですね。ラベリング論は有名です。

人同士の言葉の交換から、社会のあらゆる事象は、作られていく・・・これが社会構築主義とか社会構成主義と言われるものです。この問題にでてきたクレイムも言葉ですよね。

 

 

この本は大学生の時に買いました。社会福祉士問題を解くにあたって大活躍しています。いろんな社会学の学説を解説した本です。この問題のラベリング論のベッカーについても触れられています。社会福祉士国家試験に出てきそうな人物はほぼこの本に登場してきますよ。

 

 

上の本よりは、とてもわかりやすい本です。この本では、ラベリング論とスティグマの違いを書くにあたりお世話になりました。社会学初心者(私もそうですが・・・)には、お勧めですね。