第32回社会福祉士国家試験を解説してみた~問10 ボウルビィ 愛着 | 福祉 介護の勉強ブログ

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私の姪の話ですが、1~2歳の時ですが、台所にいるお母さんを求め、泣きながらハイハイをしていきました。冷たい叔父の私は、特に気にも留めず、テレビを見ていました。すると、「バシンッ!」と大きな音が・・・赤ちゃんの姪はなんと、ハイハイをしながら閉まっていた襖を突き破って自分のお母さんの下へ・・・愛着行動の後追い行動だったんですね・・・

 

 

心理学理論と心理的支援

 

 

 

問題10 

愛着理論に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

 

1 乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが,後の対人関係パターンに影響することは(まれ)である。

 

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「乳幼児期に獲得されたものは、後の人生において大いに影響を与えると考えるのが普通なのでは、『三つ子の魂、百までも』・・・なんて諺もありますしね・・・この選択肢は違うとしよう」

 

 

(調べてみた)

ボウルビィ

愛着理論を説きました。母子間の愛着形成が後の乳幼児の発達に大きな影響を与えるとしました。

 

愛着の形成には、「時期」が大切で一般的に生後2歳までの乳幼児期の母子関係によって決定されます。「時期」は4段階にわけられます。

 

0~1・2か月(非弁別的社会的反応段階)

人に関心は示しますが、人の区別がつきません。二人の女性が並んでいた場合、どちらが自分のお母さんかはわかりません。

 

2・3か月~6か月(愛着形成段階)

自分の母親がわかるように、人の区別がつくようになります。同時に、人見知りも起こります。

 

6・7か月~2・3歳(愛着対象への能動的近接維持段階)

愛着活動が活発になる一方、分離不安も現れます。母親以外にも、愛着が形成されます(二次的愛着対象)。例えば、父親・おばあちゃん・兄弟、おもちゃ、肌触りの良いタオル・ブランケット等です。

 

3歳~(目標修正的なパートナー形成の段階)

愛着対象との身体接触が必ずしも必要としなくなります。常に、お母さんと一緒にいなくても平気となり、行動範囲が広がります

 

愛着の形成は、子どもの知的発達や環境への適応能力の発達に有効な働きを持ちます。

 

内的ワーキングメモリー

お母さんから優しくされた経験、大事にされた経験(また、その逆も)は、人間関係を作る際のモデルになります。

 

 

2 ストレンジ・シチュエーション法では,虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい。

 

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「ストレンジ・シチュエーション法・・・わからないな・・・和訳すると『変な環境法』とでもいうのだろうか・・・環境が変わっても愛着をもって育てられた子どもは、適応できる・・・とでもいうのだろうか・・・だとすると、環境を変えた時に不適応する子どもは不適切な養育をうけたと仮定するのだろうか・・・それなら、不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見出しやすいのでは・・・この選択肢は違うかな」

 

 

(調べてみた)

ストレンジ・シチュエーション法

エインズワースらが発明しました。母子分離状態で、あかちゃんはどのような行動をとるのか観察をしました。登場人物は、あかちゃん、お母さん、知らない人(ストレンジャー)の3人です。

一緒にいる母親がいなくなってしまった時、知らない人と二人でいるとき、いなくなったお母さんが戻ってきた時、だれもいなくなった時にそれぞれの反応を観察します。そしてその反応から、3つのタイプにわけました。

 

回避型

おかあさんが部屋を出ていくという、分離場面でも、泣いたり混乱する姿が見られません。再会時にも、おかあさんを避けようとします。つまり、お母さんに対して、愛着行動を見せません。

 

安定型

知らない人がいても、お母さんがいれば大丈夫。お母さんがいなく、知らない人と一緒にいても、不安は感じるものの、それなりに安定している。いなくなったお母さんが戻ってくると、積極的に身体接触を求めます。お母さんが安全基地として機能しています。

 

アンビバレント型(葛藤型)

お母さんが部屋を出ていくと、不安が強くなります。お母さんが、戻ってくると強く身体接触を求めてきますが、一方で怒りや攻撃を示します。お母さんが、安全基地としてあまり機能していません。

 

 

3 愛着のタイプに影響を及ぼす要因には,養育者の子どもに対する養育態度だけでなく,子ども自身の気質もある。

 

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「本人の気質と育った環境、養育環境で人間は形成されるからね・・・この選択肢が正答か・・・」

 

 

(調べてみた)

同じ親に育てられた、実子と養子の愛着パターンの研究があります。その結果、愛着パターンの一致率は60%でした。愛着の発達は養育環境の影響が強いとされていますが、遺伝的気質も考慮しなければならないという考えもあります。

 

 

4 子どもの後追い行動は,愛着の形成を妨げる要因になる。

 

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「子どもの後追い行動・・・子どもが親に甘えて、後ろを追いかけることかな・・・甘えた行動に対して、怒ったりして、制止させるのは逆に愛着形成を妨げるのでは・・・この選択肢も違うかな」

 

 

(調べてみた)

愛着行動

ストレスのある状況で愛着を抱いている特定の者に対して、親密さを求める行動です。

 

発信行動

泣く、笑う、発生といった、赤ちゃんが、母親から注意をひくための行動です。赤ちゃんから関係を作りたがっている行動になります。他の哺乳類と違い、人間の赤ちゃんはお母さんの後について歩くことができないため、この行動が発達しました。

 

定位行動

注視、後追い、赤ちゃんがずっとお母さんを目で、そして実際に追う行動です。

 

能動的身体的行動

抱きつき、よじのぼり、お母さんに身体接触を自分から求める行動です。

 

赤ちゃん(子ども)は、目の前にいたお母さんがいなくなってしまうと、すぐに戻ってくるという事が理解できません。そのために、お母さんがその場から立ち去ろうとすると、後をおいけかけてきます。赤ちゃんの後追い行動は、愛着行動の一つです。選択肢の文のように、後追い行動が愛着の形成を妨げるというのは、日本語としておかしな文章です。愛着があるから、後追い行動をするのです。

 

 

5 乳幼児期の子どもの愛着対象は,母親に限定されている。

 

(解いてみた・・・これは解説ではなく、私の頭の中の言葉です)

「自分の面倒を見てくれる人に対して、愛着の対象を持つのでは・・・母親限定というわけではないような・・・この選択肢は違うとしよう」

 

 

(調べてみた)

赤ちゃんが愛着関係を築く相手は、原則、お母さんです。お母さんが無く、他に養育者がいる場合には、その養育者が愛着対象になります。

 

 

 

 

 

私の答え  「3」   正答は「3」

 

 

 

 

母子分離をした、子どもはたくさんいます。同じような環境ですが、その後の人生において、問題を抱える人、そうでない人がいます。ボウルビィは、その違いを気質としてとらえる前に、母子分離が起こった時の年齢、時期、そして、程度の3つの要因に注目しました。

 

  

 

 

 

 

 

 

社会福祉士国家試験は、範囲が広くて覚えることでいっぱいです。特に、心理学、社会学、医学といった専門的な事は、普段関わりがないと余計難しく感じます。ですが、出題される箇所は、その分野においては、基礎的な事ばかりで、どこかで聞いたことがある言葉だと思います。難しく考えずに取り組むのが良いかと思います。