山下清とマイケル・ジャクソン | 失くしたものを数える

山下清とマイケル・ジャクソン

IMG_2074_convert_20090717144550.jpg 子どもと「山下清展」に行って来た。
 この人に対する知識は子供も私もテレビでおなじみ「裸の大将」レベル。
 ちょっと人と違う個性があって、放浪して絵が上手で、って感じ。
 今回、いただいた宣伝チラシで初めてその貼り絵の見事さを知り、
 「これは是非見に行かなくちゃ~」
 
実際に展示されていたペン画(それもフェルトペンだよ)、版画、貼り絵、それから陶器の絵付け、どれも本当に素晴らしかった。
また、絵の脇にちょっと添えられている清さんのコメントも本当に視点がおもしろすぎる。
「ストックホルムの市役所の庭」という水彩画には裸像の後ろ姿が描かれていて、
コメントには「人は裸にはならないのに、、裸像は感心するのはなぜだろう」なんてコメントがあって、
「そうだね、清さん」ってつぶやいてしまったよ。
貼り絵も実物は本当に繊細で、細かい紙片は2ミリ四方程度。
「ピンセットでつまんで作るんだろうね」なんて子どもと言いながら、
出口付近でエンドレスで上映されている記録映画(ナレーションも映像も昭和!)を見ると、
一つ一つ手で貼っている。
すごいぞ、山下清!
今の時代だったら、ちょっと個性的な人が放浪してたら、
変質者扱いされて通報されたり、中学生に襲撃されたりする時代。
もうこういう天才は出ないかもしれないな。

亡くなったのは49歳。突然の死。
マイケルもそうだけど、この世で成すべきことをして神の下に還っていった。
私たち凡人に素晴らしい芸術を見せてくれるため、神が遣わしてくれる天才。
お二人とも私生活はなかなか凡人には理解されにくかった。
いいんだよ、天才だから。

ところで、この清さんの作品群を見ていると、どこかで見たことのある感覚。
そう、あの「ちびまる子ちゃん」の作者さくらももこさんの絵のタッチ。
ももこさんが清さんの絵にインスパイアされたわけではないと思うけど、
素朴だけど味がある、簡単そうでなかなかそう描けるもんじゃない。