阪堺モ161形 モ161 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

「意外や意外」大阪にもある路面電車、阪堺電車には、定期電車に充当される車両としては日本最古級の車両がおります。それが、モ161形です。

 

昭和初期に登場し、車齢はなんと90年を越えます。ここ最近は新型車両も投入されているものの、予備車として令和4年現在で4両が在籍しています。その予備車としての役割も、冷房を搭載出来ないことから基本的に夏季は運転されず、住吉大社への初詣輸送が主な役割です。最近はその車齢を逆手にとり、連休中の客寄せパンダ的に定期電車に使われることもしばしばです。

 

そんなモ161形のトップナンバー、モ161は、クラウドファンディングで昭和中頃の姿への復元が行われ、一時定期運用に充当されていました。今回はそのチャンスで取材しました。

 

車内です。内張りは木材中心、他の残存車両はアイスグリーンの塗装ながら、こちらはベースの木の色調を重視したものになりました。

 

ドアです。こちらは入り口のもので、スムーズな乗車を狙ってか両開き式となっています。床面が高いためステップがありますが、ステップが狭いこともあってか補助ステップはありません。ステップレスのリトルダンサーシリーズに慣れると、乗るだけで一苦労となりそうです。

 

続いて出口…いや降車口か、とにかくドアです。こちらは運賃収受とそもそものスペースの問題もあり片開き式です。隅に金具が付いており、今の時代では絶対にやることのない作りです(笑)

 

運転台です。中央に配置しているのは、両側に配慮しなければならない路面電車ならではですね。その運転台部分には仕切りがあり、左側は運賃箱で仕切られています。右側は…このご時世じゃなければスルーなのでしょうが、今はビニールが付いています。

 

左上をクローズアップ。昭和初期らしくメーカーズプレートは右から左読みです。あと、仕切りには飾りとなる金物も付いています。さりげない装飾、無駄を省きたがる現代には見られない余裕を感じます。

 

運賃箱は交通系ICカード対応で、ここだけは現代的になっております。ですが、相変わらずお釣りは出ません。その奥には乗り換え券の発券機があります。

 

そうそう、ドア付近は床面がやや低くなっており、緩くスロープになっています。勢い余って転倒しないように注意が必要ですね。

 

天井です。冷房化を画策したこともあったそうですが、先述の通り見送られております。おかげで美しいカーブを描いた天井が残っております。昼間は節電のためか消灯して運行されます。

 

そして、夕刻前の陽がまだ高い時間ではありますが、室内灯が点きました。照明は暖色で、昔の雰囲気を出しています。吊革の支持棒、やはりオシャレなんですよねぇ。

 

窓です。昭和初期の登場ながら、一枚窓になっています。戸袋窓の部分に関しては他の窓より内側にセットされているためか、保護棒が付いています。

 

日除けは木製の鎧戸となっています。近年は最多勢力を誇る阪急でも減少が続いている状況ですが、まだまだ現役で頑張っています。降車ボタンはシンプルにボタンだけとなっています。

 

続いて、座席へとまいりましょう。片側は6人掛けでしょうか。この時代は着席区分などはないため、5~7人と状況ごとに実着席人数は変わります。

 

袖仕切りは木製、内側に湾曲したデザインで、居住性としてはイマイチです。また奥行き浅めの座面に直角の背ズリ、正直「座れればよい」という感じです。まぁ、いくら当時比で大型化したとはいえ、ラッシュ時は立ち席面積を増やすことが大事なわけで、腰掛けるくらいなら足も伸ばせませんもんね。あと、着席定員はもう少し増やせそうには見えるものの、やはり立ち席面積に比重を置いたんでしょうね。

 

我孫子道の車庫から、折り返し準備を整えて入線です。