土佐くろしお鉄道9640形 特別仕様車 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

土佐くろしお鉄道、西側の「四万十くろしおライン」こと中村・宿毛線は土讃線の延長として特急列車がガンガン乗り入れる区間ですが、東側の「ごめん・なはり線」こと阿佐線も、四万十くろしおラインに負けじと快速列車が100km/hで駆け抜ける、鉄建公団らしい地方ローカル線にしては高規格な路線です。そんなごめん・なはり線ですが、全ての列車が俊足を誇っているわけではありません。

 

ご紹介するのは9640形…の中でも特異なこの車両。クジラを模した前面デザインがユニークな展望タイプの特別仕様車でございます。

 

車体側面にもクジラの尾びれがあります。

 

形式は9640形ですが、この特別仕様車の車番はそれぞれ「1S」、「2S」となっています。

 

前面には高知が地元のやなせたかし先生のキャラクターが描かれたヘッドマークを貼り付けています。

 

側面もたくさんいますね(笑)  この車両の特筆すべきは料金不要の普通列車にして側面に「展望デッキ」が備わっていること。高架が大半で眺望も良い路線では有りますが、料金不要とは中々です。

 

また駆動系はJR四国1000形と同スペックで、後免駅までは土佐山田方面の普通列車と併結する多層建て列車もいくつか存在します。JR車と併結して運用される私鉄車も今では非常に珍しくなりました。

 

こちらはもう1両の緑色。JR四国1000形との併結に対応しているとは言え、機構的にはJR西日本キハ126形がベースなんだそうな…。安芸駅発着便には「やたろう」、奈半利駅発着便には「しんたろう」の列車名が与えられています。

 

まずは車内から。一般型と比べ幅は2/3程度、その実着席定員はかなり少なめな気がします。

 

ドアです。片開き式で、丸窓が3つ縦に並んでいます。そんなでも、ドアレールが挟まっているのが時代に取り残された感が有りますね(笑)  足元にはマットが敷かれています。

 

ドアは通年半自動扱いで、外側に開ける、内側に開閉両方のボタンが備えられています。

 

運転台です。半室構造なのは一般型と変わりませんが、奥行きは存外広く車掌台側は完全に前面展望スペースとなっています。

 

天井です。照明はカバー付きの蛍光灯、このカバーは各地の現新潟トランシス製観光型気動車で見ることが出来ますね。座席配置故、荷棚は海側のみの設置です。

 

その荷棚ですが、滑り出し防止の仕切りがクジラの形をしています。然り気無くて気付きにくいですが、おしゃれですよね。

 

窓です。両側ともに日除けの無い固定窓となっています。山側は北向きなのでそこまで眩しくないし、海側は景色がいいし安全上展望デッキの様子が見えるように…など割り切りと事情の両方があるのでしょう。

 

座席です。メインとなるのはこちらの転換クロスシートです。一般型とは異なり、背ズリの高さは良く見かけるタイプです。高くすると海側の眺望を妨げるからなんでしょうね。形状自体は全国並み一般に見られるありふれた形状ですが、肘掛けだけはオリジナリティが出ています。

 

山側の補助椅子です。転換クロスシート1列では着席定員が大幅に少なくなってしまうため、救済処置的に設置されています。

 

展開の図。座面を持ち上げて倒す方式で、バタバタと倒れてこないようにしています。初めて使う場合は展開にてこずるかもしれません。

 

車椅子スペースです。ヒーターも備えられてはいますが、戸袋を活用した部分のため窓がありません。ここはちょっと残念ですね。

 

反対側の立ち席スペースです。壁なのをいいことに運賃表やチラシ入れが付けられています。

 

岩崎弥太郎の案内です。列車名にも採用されているから、ということもあるでしょう。

 

最後はオープンデッキです。開放される列車は減速運転をする列車・区間に限られており、それ以外は施錠されています。

 

仕切りのドアです。こちらは化粧板を省略したステンレス仕上げで素っ気ないですね。

 

オープンデッキ部分です。天井には照明が付いていますが、車内のものとカバーが違う…。

 

外側は3本の柵を設け、内側には握り棒を取り付けています。減速運転とは言え、トンネル走行中はかなりの風圧になります。モノはもちろん、人も飛ばされないよう注意しましょう。

 

注意点も貼られています。