あいの風とやま鉄道521系 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


かつてJRでも有数の特急街道として名を馳せた北陸本線。北陸新幹線開通により走行区間が被る特急列車は全て廃止、経営もJRからは切り離され地域に委ねられることとなりました。そんな経緯で富山県内に誕生した第三セクターがあいの風とやま鉄道です。


同鉄道の主力はJR時代に導入された521系です。三セク移管前に急ピッチで導入され、急行型車両を全て置き換えています。今考えれて見れば、ただでさえ三セク化による運賃値上げ等により地域には不利益が圧倒的に多い経営移管、JR西日本によるせめてもの置き土産的体質整備だったようにも思います。
 

大きく分けて3つに大別される521系の中で、あいの風とやま鉄道に割り当てられたのは中期に導入された編成です。金沢までの直通先であるIRいしかわ鉄道には後期車もいますが、この辺りは大阪に近い側から経年が浅い編成を割り当てたのか、あちらは中期的に見れば路線長が伸びることを想定したのかは謎です。
 

編成記号はAK、「あいの風」ということでしょうか。
 

三セク移管に際してデザインを改めており、社名の通り風をイメージしたものとなっています。こちらは日本海側、青い風となっています。
 

こちらは立山連邦側、緑の風ですね。
 

IRいしかわ鉄道の金沢から泊までの運転で、平日朝夕には有料ライナー列車である「あいの風ライナー」にも使用されます。
 

車内です。この画像はJR時代のものですが、広告類が多少変わっただけでそれ以外の変化はありません。


ドアです。構造そのものは前期車と似たものですが、ドア両端に注意喚起用のイエローテープが貼られたこと、ドア横の手すりの形状が変更されたことなど、若干の変更点が見られます。


整理券発行機が設置されたドアです。台座が片持ち式で厚みも増やされています。ドアの半自動機構も備えられており、通年半自動となっています。
 

ドア上の広告です。しっかりあいの風とやま鉄道仕様となっています。
 

そしてオリジナルのマナー啓発広告。こういうご当地広告、何だか好きです。
 

半自動ボタンです。点灯式とはなっていますが、やっぱり広告枠とセットになると目立たんわな…。


車端部です。変更点としては、ロングシートの袖仕切りが大型化されたことですね。


トイレのある車端部です。223系2000番台から円筒形に改良されたもので、最近の車両ではお馴染みとなってきました。


最前面です。仕切り窓は大型ではなく、一般的によく見られる大きさです。そして仕切り扉は横引き式で、ワンマン運転が始まるとここを開けっ放しにして、乗務員室に収納された運賃箱を引き出してくるようになると思われます。
 

しかし、実際一部列車でワンマン運転が行われてはいるものの実態は車内精算を行わないちょっとした都市型ワンマン運転で、運賃表には蓋がされています。JR西日本もこれは予想だにしなかったでしょうね(^^;;


天井です。蛍光灯にカバーがかけられているのは、この時期の車両の関西化(ある意味の標準化)の産物です。吊革が黄色で径が太いもの、ラインデリアの羽が枕木方向になっています。
 

変わった点はこちら、18きっぷの通過不可案内です。個人的に、金沢・津幡・高岡・富山・糸魚川・直江津でのみ下車可能にして、通し利用が出来るようにして欲しいものです。


窓です。一段窓で、一部は下降するようになっています。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。テーブルはありませんが、広く取られた桟にペットボトル程度の物なら置けるようになっています。


座席です。まずは転換クロスシートから。やはり223系2000番台の後期に導入された座席と同形状ですが、持ち手が緑から黄色となっています。
 

座り心地はもう言わずもがな、扁平で体に沿った形状とは言い難く、当時敦賀から金沢まで通しで乗車した時にはやはり腰に違和感が・・てそれは当たり前か(^^;;
 

ドア横の固定クロスシートです。座面角度がしっかり付けられている点や、背ズリの形状などもこちらの方が優れているのかな、とは思います。微々たる差でしょうが・・。

 

しかし、この設備でライナー料金というのは関西在住の私としては「いやぁ…」という思いがあります。その内681系にも余剰が出ますし、ラッシュ専用車として譲ってもらうのはいかがでしょうか?


中央のドア横に関しては、補助椅子が設置されています。
 

勿論223系2000番台以降の大穴が空いたタイプです。従来このようなタイプの車両が北陸地区に存在しなかったためか、補助椅子があるにも関わらず立っている方をよく見かけます。


整理券発行機です。前述の通り現在は使用されていません。


車端部のロングシートです。優先座席となっています。モノとしては321系と同じもので、背ズリが短い上にクッション性も低く、座り心地はお世辞にも褒められたものではありません。「お年寄りが立ち上がりやすいように」硬くしているようですが、妻面の手すりにそのような配慮が見られるものの、硬い+「鉄道」という揺れが大きい環境下では地獄以外の何物でもないような。評価の声も聞こえませんし。優先座席ではありますが長距離走行を前提とした車両に、京阪神緩行線のように短距離移動を主眼に置いた座席を持ってくるのは如何なものかと。


大型化された袖仕切りです。ここなど のものと比べると、縦方向の長さを大きく取っており、もたれ掛かりなどがしやすい形状になっていると思います。そして、何より評価したいのはモケットが貼られていること。これが北国を走る車両としては嬉しいですよね。ただその犠牲として、肘周りに余裕が無いのが残念です。この袖仕切りと座席の間に肘掛の類を挟めば、ある意味最強の袖仕切りが出来上がると思います。後は・・ロングシートの軟化。これ本当に何とかしてください!


トイレ横の車椅子スペースです。手すりの追加や、非常通話装置などが設置されています。ヒーターも薄型のものが設置されています。ただ、金属地剥き出しなのが少し残念ですね・・。
 

さて、開業から二年が経った2017年に訪れてみると、座席モケットが変更された編成が増えてきているようです。
 

で、その座席。225系と同様のモケットとなっています。相変わらず滑りにくくはなりましたが安っぽいポリエステルの質感は何とかならんもんでしょうか。
 

それよりも残念なのは、せっかくのモケット変更なのにJR西日本と同一にしていること。検査をJR西日本で受けていることや仕様統一によるコストダウンの観点からも仕方がない部分はありますが、せめてあいの風らしく海側を青、山側を緑にするくらいのオリジナリティがあってもいいとは思うのです。「あいの風ライナー」で平日朝夕の時間だけとは言え新幹線に張り合う列車を走らせるくらいの気迫はあると思うので、もっと頑張って欲しいなぁと。
 

ドア横の固定クロスシートです。座面などは転換の必要がないことからこちらの方が少しだけ作り込まれている気がします。
 

とは言え背ズリが見ての通りイマイチ、221系と比べると、「なぜここまで劣化したか」と思わずにはいられません。
 

ロングシートの優先座席です。茶色から緑に変わっているのもお馴染みの流れです。
 

がしかし、袖仕切り裏側のモケットだけは茶色で残ったようです。

決して収支は悪くないあいの風とやま鉄道、県を上げて鉄道利用を促進する体制が出来つつあるだけに、更に独自性に溢れた地域の足として頑張ってもらいたいです。

 

 

 

 

 

 

 

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