
福岡市交通局の空港線、箱崎線。この路線系統では、開業時より活躍してきた1000系がそろそろ置き換え時期が迫ってきた中で、2024年11月より、新型車両が運用を開始しています。それがこの4000系で、従来系列に比べたら前面がスッパリ切妻…地下鉄を始め通勤電車は質実剛健が第一ですが、一度垢抜けたデザインを経験すると、個人的には退潮的と思わずにはいられません。それでも、前面展望に配慮したと思しき非常扉の拡大窓は素敵ですし、福岡市地下鉄の空港線・箱崎線系統では初の全面塗装車となっています。無塗装ステンレス化はよく聞きますが、無塗装ステンレス車から塗装仕上げに向かうのは珍しいですよね。

車内です。青系を基調としたデザイン…いや、床の青がかなり強調されています。

ドアです。車端部側はドア横のスペースがほぼ無い一方で、ドア間に関しては少しだけスペースが取られています。ドア上にはLCDディスプレイが3面式で設置されています。

右2面で運行案内、左側で広告を流しています。1000系のマップ式案内をディスプレイ化しようとするとこうなる訳ですね。なお躯体の下辺が持ち手を兼ねた形状となっており、中々奥に詰めないことでドア付近が混雑しやすい状況でも手を掛けられるようにしています。時折「もうここからは乗れませんよー」みたいな雰囲気醸し出してる人がいますが、少なくともそこからあと3人は乗れるのが持論です。

車端部です。製造は川崎車両が担当していますが、同社製造らしくガラスを組み合わせた仕切り扉となっています。これ、天神で真上を走る西鉄9000形にも通じるデザインで、川崎の血を色濃く感じさせる部分なんですよね。ガラスを使わない部分の妻面は木目調で、ある意味福岡市地下鉄の伝統です。

フリースペースとセットになった区画です。床面は優先される方を対象にしたシートが貼られています。車端部にある座席は全て優先座席、昨今増えつつある全車端部優先座席のこの風潮、どうにかならんもんでしょうか。

そしてユニバーサルデザイン座席が設置された区画です。こちらはまた触れましょう。

最前面です。一面ほぼ壁、握り棒が備えられているのが最低限の気配りでしょうか。外観のところで触れましたが仕切り扉の窓は縦幅を長く取っており、地上区間でお子様でも外が見やすいように配慮されています。もっとも、地下区間では遮光幕を降ろしてしまう訳で、その拡大窓の意味は全く成さなくなります。車掌台側となる仕切り扉の遮光幕なぞ無い会社もある訳で、本当に必要なのかとは思ってしまいます。

天井です。中央のルーバーは枕木方向に凹凸したスタイルで、これも川崎車両を始めとした近畿圏製造車両でよく見かけるスタイルとなっています。照明は2000N系に引き続き直管式のLED灯で、光が直接降り注ぐため明る過ぎる印象があるそれですが、ソケットを取り付ける部分に凹凸を付けることで、ライトワークを工夫しようとした意図が伝わります。吊革は枕木方向にも設置され、掴まれるチャンスを増やしています。

窓です。地下鉄区間がメインと割り切り日除けは省略、着色窓で済まされています。そうそう、荷棚はガラスとバーを組み合わせた形状で、荷物の上げ下ろしの容易化を図ってか、高さを窓の上辺よりも下部に設定しています。

座席です。ドア間のロングシートは6人掛けでございます。2+2+2で区切るように握り棒が入り、モケットは3+3の位置で分割されています。またバケットシートを採用することで、定員着席を促しています。袖仕切りが近年の川崎車両でおなじみ、ガラスを利用しています。まぁ、「車内空間を広く見せるため」だとか言って近年採用例が増えていますが、肘周りの奥行きが取れないわ汚れや傷が付いたらやたらと目立つわ冷たいわ、一番は事故発生時にガラスが飛散するリスクが高過ぎると、意外とデメリット多めだと思っているのですが…。

車端部の3人掛け優先座席です。モケットを若草色にして、足元と窓にピクトグラムの優先席シートを貼り付け、吊革を濃黄色にして区別しています。近年の車両にしては高めの背ズリに程よい硬さのクッション性、「2000系までの居住性と3000系での反省点を活かして満を持して投入」みたいな印象を受けました。

そして、ユニバーサルデザインの優先座席です。座面を柔らかくした上でやや高めに設定し、背ズリ下部(腰部分)の張り出しを大きくした上でホールド性をアップ、また立ち上がりの際に掴まって踏ん張れるように仕切りを入れた設計としています。短距離乗車では威力を発揮しますが、長距離では一般座席に軍配があがりそうです。だからこその短距離利用に主眼を置いた優先座席ということですね。しかし、ですよ。真ん中の席は両手で仕切りを掴めるとして、両端の席は片手しか掴めません。袖仕切り側は縦方向がありますが、壁側は完全に片手分しかありません。2000系とかくらいまでなら余寸を設けて肘を逃がせるスペースを作り出していたのでそこに手をつくことが出来たのですが、その辺のノウハウが引き継がれなかったのは残念です。

フリースペースです。目立つのが立ち客用のクッションで、車椅子の介助者さんやベビーカーの親御さんにも、少しでも楽に移動してもらおうという配慮が感じられます。その他、戸袋窓に握り棒、窓下にヒーター、妻面に非常通話装置と消火器が備えられています。

さて、近年の通勤電車では車端部に飽きたらず、ドア間全部をフリースペースにしてしまう例が増えてきているように思います。この系列でも、福岡空港・貝塚方先頭車にフリースペースが設けられています。

最前面を向いて右側の窓です。中央の柱が無い1枚窓となっています。地上を走るJR九州のアルミ通勤電車がバカでかい横幅を持った窓を備えているので、それと比べると少しインパクト薄めです。

で、そんな地上の博多駅にいるアルミ缶集団もビックリな面積を有するのが左側の窓で、縦幅が可能な限り拡大されています。

そして、この手のフリースペースとしては珍しく座席があります。最前面向かって右側には2人掛けロングシートが2組設置されており、ドア横及び中央にはスペースが設けられています。そのスペースには荷物置き場のピクトグラムが貼られていまして、空港線での大きな荷物の持ち込みに対応しています。座席の袖仕切りは存外低めで、肘掛けとしては使い物になりません。まぁ、荷物を抑えるために手を伸ばすことを考えてそうしたんでしょうけど…。

向かい側は車椅子やベビーカーと一緒に利用することを想定した区画です。ベビーカー等に乗っていても外の景色を楽しめるようにこの窓の大きさにしたんでしょうが、この窓の大きさの恩恵を受けられるのはほとんど他社線内、地下鉄では延々トンネルの壁を見続けることになります(苦笑)

座席です。着席定員2名、人数の少なさは見れば分かるのでもういいとして、地下鉄ながらクロスシート方向にも座れるようになっています。おかげでバケット形状に出来るはずもなく、クッションは柔らかめです。その分と言っては変ですが背ズリは垂直、長時間乗車することに主眼を置いたものではありません。真新しい景色を楽しむためのものと捉えた方が幸せです。