
2010年、本線の特急運用から姿を消した6300系。それは阪急京都線の京阪間移動のスタイルがすっかり3扉車へと切り替わった瞬間でした。最終運行を行ったのはトップナンバーの6350F、現在この編成は6350号車だけが正雀に残っていますね。

一方で6351~6353Fの編成は、4連に短縮された上で嵐山線へ転用されました。今回はこの嵐山線用の6300系を取り上げます。元々転用の計画は無く、6300系は全廃となる予定だったようです。やはり阪急の社内でも、6300系の支持は絶大なものだったのでしょうね。

名称変更前の松尾駅にて。定期運用は前述のように嵐山線内各駅停車のみで、正雀工場入出場時のみ懐かしの京都本線を走行します。行楽期は2扉で乗降に時間がかかるという本線時代のネックを未だひきずっているのと、4両編成という輸送力不足により3扉6両編成に差し替えられます。

近年は車番が上部にも記載されています。6354F「京とれいん」はホームドアの絡みか引退と相成りましたが、京都本線の10両編成運用も消滅した中で動向が心配な同系列です。そう言えば的に、この大型の転落防止幌が特徴的ですね。

6300系は2025年で登場から50周年、これを記念した装飾が施されています。

全編成にヘッドマークが装着されています。かつて乗務員室直後の外壁に設置されていた「Hマーク」を配したものになっています。

6352Fでは、更に細かい変化を施して送り出しています。

それがこちら、表示幕周りの枠の上部は現在はアイボリー塗装とされていますが、この編成では登場時の塗り分けであるマルーンに塗り直されています。

更に、小窓の上には「Hマーク」のステッカーが貼られています。設計段階では漢字で「阪急」とすることも考えられていたようですが、上層部から「今更"阪急"とは」とダメ出しされてボツになった過去があるそうな。新社章導入で新型車両への新規設置が取りやめとなりましたが、アニバーサリーの度に復活しております。社内でも人気が高いと見受けられますが‥新規設置、やめなかったらよかったのに。

車内です。クロスシートが残されているのが京都線特急用車両としての伝統ですね。混雑対策として両端はロングシート改造されていますが・・。

ドアです。阪急のリニューアル各系列で採用されているドアと同様のもので、化粧板はこげ茶色に、窓は縦方向に拡大されています。以前ドア横の広告枠は絵画の額縁のようなオシャレなものでしたが、リニューアル時に見事に普通のものに交換されています。細かい・・。

車端部です。ドア同様にこげ茶色の化粧板に交換されていますが、窓のない妻面はそのままとされたようです。補助椅子収納のための箱は下のヒーターの影響のためかそのまま残っていますが、補助椅子自体は撤去され埋められたようです。その代わりかどうかは分かりませんが、9300系のドア脇の固定クロスシートの背面にあるものと同様のクッションが設置されています。乗車時間を考えるとこれが妥当なのでしょうね。仕切り扉は窓が大きいものに交換されました。

最前面です。伝統の前面展望良好な窓です。

6351Fにはブルーリボン賞受賞のプレートが残っています。リニューアル後も、これだけは剥がさなかったんですね。

さて、阪急では全線で自動放送が開始されましたが、この系列でも自動放送装置が用意されました。今しばらくは活躍が見込まれるということでしょうか。

という訳で車掌台側の座席です。自動放送装置は窓に向けて設置されたため、客室からの視界を遮る形になっています。一応、なるべく座席から離した位置にセットして遮る面積を最小限にしていることは、せめてもの配慮でしょうか。

嵐山方の最前面です。こちらは優先座席に指定されており、座席や吊革のバンド、日除けの生地が専用のものにされています。

天井です。冷房の吹き出し口は相変わらずスポットタイプで、風はあまり強くありません。ただ吹き出し口はブロンズ色となり、地味にお金がかかっています。荷棚は9000系列と同様のものになっています。

吊革は特急用車時代には改造によりドア付近のみ設置されていましたが、今回の再改造で端から端まで設置されるようになりました。ドア付近・ロングシート・クロスシートで長さや間隔を使い分けています。

窓です。日除けがアルミ鎧戸からフリーストップ式のカーテンへと交換されています。

座席です。まずロングシートから。前述の通り、混雑緩和のために設置されたものです。後の改造にも関わらず9300系とは違い方持ち式ではないものです。座面から上は一緒ですが(笑) 画像は4人掛けで、真ん中に定員着席を促すための仕切りが入っています。個人的には中間車はオールクロスシート、混雑する両先頭車はオールロングシートでもよかったのではないか、などと思ってしまいます(笑) 窓割りから計算すると・・24人掛けの超ロングシートが出来上がりそうです(^^;;;

車椅子スペースに面したロングシートです。2+3+2と8200系と同様の区切り方になっています。画像は当時点での優先座席です。

で、現在のロングシートです。最近ではすっかりお馴染みになったワインレッドのモケットとなっており、ステッカーも変更されています。そうそう、6300系と言えば非常通話装置が特徴的で、各部に採用されている木目調の化粧板を貼ったオリジナルスタイルになっています。車端部にも非常通話装置がありますし、わざわざ残したということですよね、これ‥。

車椅子スペースです。握り棒のみの設置で、その他の付帯設備は有りません。横のロングシートは2+3の5人掛けです。

そして現在。こちらもモケットが変更されました。また日除けも優先座席仕様の生地となりました。

最前面の短い2人掛けロングシートです。かつてはクロスシートとの格差をなくすために肘掛がクロスシートの肘掛と同様のものにされたなかなか凝ったものでしたが、普通のものに交換されてしまいました。

優先座席です。座り心地は安定の柔らかさ、嵐山線の乗車時間では特に不満点はありません。そう言えば的に最近登場する新車やリニューアル車は少し硬い印象があるので、この系列を境に変わったように思います。

続いてクロスシートへと参りましょう。1+2の配置で、阪急でこの配置は何年経っても新鮮です。

2人掛けです。まず転換クロスシートから。座席自体は9300系ベースのものになっていますが、かつての座席自動転換装置は装備していません。

座り心地も9300系と全く一緒で、これまでの柔らかさを売りにしたものではなく、程よい硬さを持ったものです。窓側に肘掛はなく、窓枠自体も高いままなので窓側席は非常に居心地がよろしくないです・・。せいぜい片道7分間なので割り切りと言えますが、どうせ3列配置なんですから窓側に余裕を持ってもよかったと思うんですよね。

脚台は9300系のような一本足ではなく、足元が空いている2本足のものです。9300系もこれでよかったのでは?(^^;;

固定クロスシートです。・・このカット、割と好きだったりします(笑) こちらも9300系とほぼ同じですね。

ヘッドレストが切り立っているのも同様です。やはりこちらの方が作りこまれている感じがしており、ヘッドレスト一つで違ってくるものです。背面の木の覆いもそっくりそのまま持ってこられています。

続いて阪急電鉄初の1人掛けのクロスシートへ参りましょう。

2人掛けを分断して設置した形になります(笑) 転換もサクッと出来ます。

そして固定クロスシートです。

やはりたった7分間でも転換クロスシートを設置したのは、この車両が6300系だからなのでしょうね。粋な阪急の計らいに乾杯。

桂駅にて。6354Fが快速特急→快速特急Aとして華々しく活躍し、そして走り去っていった中、6351F・6352F・6353Fは何を思ったのでしょうか?