こんにちは!luftballonですニコニコ

 

今日も新米気象予報士の勉強法を訪れてくださりありがとうございます。

 

今日は気象予報士試験受験対策に特化した投稿をしたいと思います。

 

テーマは、前線解析グラサン

 

気象予報士試験の実技試験で出題されることのある「前線解析」を実演したいと思いますニコニコ

 

本日はやや専門的というか、前線を見つけ出すコツを解説します。気象予報士を目指す方や気象を学んでいる方向けの内容になります。

過去問を解いていて前線解析がうまくできない~笑い泣きという方にぜひ読んでいただきたい内容ですニコ

 

 

さて、テレビの天気予報で見かける天気図には前線が描かれていますよね。

 

アレ、誰かが描いたから天気図上に前線があるのです。

 

基本的には気象庁の予報官が描きますが、気象予報士試験では自分で天気図上に前線を描かなければなりません笑い泣き

 

さらに、自分で予報をする際には天気図上には描かれていない小規模な前線や、不明瞭な前線も自分で見つけ出す能力が必要になります。

 

なので、今日は試験対策を主眼に置き、前線解析のやり方を実演しながら解説していきたいと思います。

 

ニコ題材として最近大雨を降らせた前線を用います。

今年の8月13日朝9時を起点に、12時間後と24時間後の天気図を用いて前線解析をします。

この事例では九州と中国地方を中心に西日本で大雨となりました。

 

まず、使用する天気図の紹介をしますニコ

※以下、時間は全て日本時間で記載

 

①速報天気図(13日9時)…これを初期時刻とします

②12時間後(13日21時)500hPa高度・渦度、地上気圧・風向風速・12時間降水量

③24時間後(14日9時)500hPa高度・渦度、地上気圧・風向風速・12時間降水量

④12時間後(13日21時)500hPa気温・700hPa湿数、850hPa気温・風向風速、700hPa鉛直p速度

⑤24時間後(14日9時)500hPa気温・700hPa湿数、850hPa気温・風向風速、700hPa鉛直p速度

⑥12・24時間後(13日21時・14日9時)850hPa相当温位・風向風速

 

 

では、天気図解析をスタートしますグラサン

 

初期時刻である①速報天気図(13日9時)に描かれている前線を出発点として、12時間後、24時間後の前線を描いていきます。

 

◆まずは、①速報天気図(13日9時)を確認していきましょう。

 

日本の南には太平洋高気圧があり、北海道周辺はオホーツク海高気圧に覆われています。そして、停滞前線(秋雨前線)が中国の華中から東シナ海、西日本日本海側、東日本太平洋側を通り関東の東にのびています。

 

◆この前線が12時間後にどうなるのか、予想天気図を解析していきましょうニコ

 

・まずはセオリー通り上空の500hPaから見ていきます。

②の上の段を利用します。

トラフとリッジを赤色強風軸を水色サブハイを青色で描いていきます。

 

 

ここで新米気象予報士の脳内を大公開!

グラサンなんとなく強風軸のあたりに地上の前線が来るのかな?

グラサン強風軸の後ろ(西)にはトラフがあるので、その前面(前線上)では今後擾乱が強化されてキンクや低気圧が発生するのか?前線の活動が活発になるのか?

グラサンサブハイ(太平洋高気圧の縁の目安)が本州南岸付近まで張り出してきている。日本付近は高気圧縁辺流で高温多湿の空気が供給されそうだな。

グラサンサブハイも前線の位置を推測するのに役立つかもしれない。

 

・次に④の上の段を利用して700hPaの湿潤域、下の段を利用して850hPaの等温線集中帯風向風速、700hPaの上昇流域に色を付けていきます。

 

 

ここで新米気象予報士の脳内を大公開!

グラサンなるほど700hPaの上昇流と800hPaの湿潤域、だいたい同じところにのびてるな。このあたりに前線がくるだろう。500hPaのジェット軸とも対応が良い。

グラサン850hPaの矢羽根を見て風向風速のシアーを確認すれば、ほぼ前線の位置は特定できるな。

グラサン前線を理解する上で最も重要な要素である等温線集中帯は……

850hPaの等温線を見ると日本の東(太平洋上)では集中帯は見られるが日本付近から中国大陸にかけては不明瞭だな(てか無いな)

グラサンまあこれは秋雨前線だが、テキストに載ってる梅雨前線の特徴と同じだ、前線の西半分は温度ではなく湿度の傾度を見ればいいだろう。

 

 

・というわけで、⑥の左の段を見て12時間後の、850hPa等相当温位集中帯風向風速に色を付けていきます。

 

 

ここで新米気象予報士の脳内を大公開!

グラサン等相当温位集中帯を見ると、中国の華中から対馬海峡付近、日本海まで明瞭に表れている。

グラサン太平洋上の等相当温位線集中帯は④で見た等温線集中帯とほぼ一致する。

グラサン風のシアーを見ると前線全体がほぼ確定できそうだ。

 

 

・それでは、今日の目的である地上の前線を描きます。

 

さあ、必要な情報は出そろいました。天気図解析のセオリー通り、上の高度→低い高度の順に天気図を見てきました。最後に地上の天気図を確認して、前線を描画していきますニコ

 

先ほど使用した②の天気図の下の段(地上天気図)を用います。

 

まず、地上天気図のLスタンプHスタンプに色を付けていきます。

次に、風向風速の矢羽根に色を付けます。

そして、降水域を薄く塗りつぶします。※降水域に色を付けると全体が見にくくなってしまうので今回は色を付けません。

 

 

さあ!準備は整いました爆  笑「前線」を描いていきましょう!

 

今まで色付けして解析してきた高層天気図をもう一度見てください。

大まかな前線の位置は上空を見ることで既にわかっていますニコ

 

続いて、②の下の段の地上天気図に目を向けていきます。

 

前線解析で重要な要素はLスタンプ等圧線です。

 

Lスタンプ等圧線を見ながら最も気圧の低いところを線で結んだものが前線です。

 

その際、風向風速の矢羽根に注意して、風の流れが前線の形状と整合性が取れる様してください。

 

 

こんなかんじになりました。赤色で前線を描いていますニコ

 

ここで新米気象予報士の脳内を大公開!

 

グラサン実は風向風速の矢羽根オレンジ色で囲ったものが1つだけあります。東北地方の太平洋側にある南東の風15ktの矢羽根です。

 

前線をここより北に通すか南に通すか迷いました。

かなり迷いました滝汗

 

この部分だけ不自然に風向が南寄りになっているので、付近には低気圧かもしくは低気圧ではなくても何らかの擾乱がありそうな気配がします。

 

また、高層天気図を見ていた時点でも、その辺りに低気圧性循環がありそうな気配はありました。

 

そして、②下の段の地上天気図で12時間降水量を見ると、その付近で降水量の極大値(30mm/12h)が存在します。

つまり、過去12時間でその付近では周辺と比べ雨が多く降ったということであり、周囲より強い擾乱があることが示唆されています。

 

しかし、地上に低気圧を示すLスタンプはありません。

 

ということで、最終的にそこには低気圧はないがキンクがあると判断して、

 

前線をとんがらせてキンクを描き、前線やキンクに向かって南から風が吹きつけるというシナリオに着地点を求めました。

 

絶対の自信があるかというと、まあ65%くらいかなというかんじですグラサン

 

人によって意見が分かれるのではないでしょうか。南東15ktの矢羽根の南側に前線を通しても問題ないと思います。

 

ちなみに、気象予報士試験では模範解答は示されますが、細かい部分はどちらでも正解と考えられる問題も案外あります。

その時の出題者や採点者の気分しだいで「正解」をもらえるか「部分点」をもらえるかが決まると思って、あまり追求しすぎない方が良いでしょう。

 

元々天気予報は不確定要素が多いので同じ天気図を見ても予報士によって異なる解釈をすることが多いです。

大事なことは大まかに前線が描けて、その描画に対して根拠があることです。

 

気象予報士試験の実技においては満点回答を目指すよりも、確実に部分点を積み重ねていくことが合格への近道になると私は考えています。

 

以上で、初期時刻から12時間後(13日21時)の前線解析を終了します。

 

◆続いて、24時間後(14日9時)の前線解析を行います。

 

先ほどと同じように、500hPaから順に下の高度を解析していき、最後に地上天気図に前線を描画しますニコ

 

みなさんも実際に解析をやってみていただければと思いますニコニコ

 

私が解析した天気図を貼り付けますので、答え合わせに利用してみてください。

 

・まずはセオリー通り上空の500hPaから

トラフとリッジを赤色強風軸を水色サブハイを青色

 

・次に④の上の段を利用して700hPaの湿潤域、下の段を利用して850hPaの等温線集中帯風向風速、700hPaの上昇流域

 

・そして、⑥の右の段を見て24時間後の、850hPa等相当温位集中帯風向風速に色を付けていきます。

 

・それでは、今日の目的である地上の前線を描きます。

まず、地上天気図のLスタンプHスタンプに色を付けていきます。

次に、風向風速の矢羽根に色を付けます。

そして、降水域を薄く塗りつぶします。※降水域に色を付けると全体が見にくくなってしまうので今回は色を付けません。

 

さあ!準備は整いました爆  笑「前線」を描いていきましょう!

今まで色付けして解析してきた高層天気図をもう一度見てください。

大まかな前線の位置は上空を見ることで既にわかっていますニコ

Lスタンプ等圧線を見ながら最も気圧の低いところを線で結びます。その際、風向風速の矢羽根に注意して、風の流れが前線の形状と整合性が取れる様してください。

 

 

こんな感じでいかがでしょうかグラサン

 

前線解析は慣れるまでは結構難しいです。

 

いや、慣れても難しいです滝汗

 

色んな天気図や試験問題を利用して、何度も解析を行っていくうちに自分なりのセオリーが出来上がってくると思います。

 

私自身が受験生時代は、何度過去問を解いても上手くいかず、解説を読んでも全く理解できない状態が続きました。一向に前線解析ができるようにならなくて、投げ出したい気持ちでしたえーん

 

前線解析に悩んでいる方にとって、今日の投稿が少しでもコツをつかむきっかけになればとても嬉しいですニコニコ