映画「天気の子」にも出演したとかしないとか、気象庁研究者の荒木健太郎さんが、穴あき雲についてツイートされたのを拝見しました。

テレビにも取り上げられて取材を受けていたようですね!

 

 

 

 

空に広がる雲に部分的に穴が開くというのは、とても不思議な現象ですよね。

私はまだ見たことがないので、一度生で見てみたいですニコニコ

 

荒木さんの解説を読み、気象学のテキストで学んだ基礎知識が現実の空で起きていることを再認識でき、とても興味深いと思いました。

 

どんな知識なのかと言うと、

 

気象予報士試験でも必須の「氷晶と水滴の飽和水蒸気圧の違い」が穴あき雲の発生メカニズムになっています。

 

簡単に説明してみたいと思いますので、穴あき雲に興味を持った方や、気象予報士試験を受ける方は是非最後まで読んでいってください!

 

 

雲にも色々あって、「水滴の雲」と「氷晶(氷粒)の雲」があるんです。

荒木さんの解説を要約すると、「水滴の雲の中に、氷の粒(氷晶)が発生→水滴が蒸発し、水蒸気になる→水蒸気が昇華して氷の粒(氷晶)が成長する→氷だけ落下する→雲に穴が開く」

 

滝汗ん?

 

 

水滴が消えて氷晶が成長する

絵心が壊滅状態ですみません笑い泣き

 

 

なんで、水滴は蒸発(気化)して、氷晶は昇華して成長するの?って思いませんか?

 

水滴と氷が両方存在すればいいじゃんか!

 

水滴は蒸発して消える。蒸発した水蒸気はすぐに昇華して氷になる。本当か?びっくり

 

試しに、テーブルの上に水の入ったコップと氷だけの入ったコップを並べて置いてみてください。

 

氷が溶けるだけですよ。ニヤニヤ

水の蒸発も起きますが、量が減ったとわかるほど蒸発が進むには数日間かかります。

 

では、なぜ雲の中では短時間のうちに水滴が消えて氷晶が成長したのでしょうか?

 

ここで、「氷晶と水滴の飽和水蒸気圧の違い」がキーワードになります。

ちょっとだけ小難しい話になりますあせるできるだけかみ砕いて説明します!!お願い

 

飽和水蒸気圧なんていう言葉は物理学用語なので、いったん忘れていただいて、

 

とりあえず今は、「水の蒸発のしやすさ」は「氷の蒸発のしやすさ」より大きい。←本当は「氷の昇華のしやすさ」ですが理系じゃない方にもイメージしてもらいやすくするために、ここではあえて蒸発という言葉を使用します。昇華については水の三態変化を詳しく学ぶ必要があるので、後日別の記事で説明したいと思いますニコ

 

という事実を覚えておいてください。

 

 

では、ここから気象学の話に入っていきます。

コップの中の水や雨上がりの水たまりを思い浮かべてください。

 

何日も放っておくと、いつか乾いて水が減っていきますよね。

 

これは、水が蒸発して水蒸気になり空気中に拡散していくからです。

 

例えば湿度が40%の空気に、触れているコップの水が蒸発すると、空気中の水蒸気量は増えていき、湿度が上昇します(50%とか70%とか)

 

水の蒸発

 

 

コップの中に水がある限りどこまでも蒸発が起こり、湿度が増加し続けるわけではありません。ニコ

 

空気中の水蒸気量が増え、湿度が増加すると、いつか湿度100%になりますよね。

 

湿度が100%になったときに蒸発が止まります。

湿度が100%になるとこれ以上水蒸気が空気中に増えることができません。

 

 

今度は氷の場合を考えてみます。

 

ビー玉くらいの小さな氷の粒を想像してください。

 

空気中の湿度が低いと、氷からも蒸発(昇華)が起こります。

 

氷が(溶けることなく)いきなり、水蒸気になるのです。

※基本的には氷点下でのみ起こります。常温の部屋の中で実験しようとしても氷は解けて水になってしまいます。

 

氷の蒸発(昇華)

 

 

氷からの蒸発(昇華)が続き、湿度が100%になったところで止まります。

 

ここで重大発表があります!

 

 

「水が蒸発するときの湿度100%」と「氷が蒸発(昇華)するときの湿度100%」の水蒸気量が異なりますニヤニヤ

 

なぜなら、「水の蒸発のしやすさ」は「氷の蒸発のしやすさ」より大きいからです。

 

つまり、水が100mg蒸発して、湿度100%になる時、もし氷から蒸発(昇華)するのであれば80mgで湿度100%になるってことですニヤニヤ

 

同じ部屋に水の入ったコップと氷を置いておくと、同時に蒸発が始まりますが、氷のほうが先に蒸発が終了するということです。氷にとっては80mg蒸発(昇華)した時点で湿度100%だからです。

でも水はあと20mg蒸発をする必要があるので蒸発が止まりません。

※ただし氷点下での話です。

 

水と凍、蒸発しやすさの違い

 

 

なんで?

 

たぶん、液体の水分子の方が、個体の氷分子よりも熱運動が激しいからだと思うんですけど、化学の込み入った話になってしまうので、とりあえずそういうもんだと理解してくださいあせる

実は私もあまりよくわからない

 

てなわけで、水と氷が両方あると、両方から蒸発が起こるわけですけれども、

 

氷にとっては湿度100%なのでこれ以上蒸発は起こらない。でも水にとってはまだ湿度100%に達してない。だから水からの蒸発は続く。

 

すると、氷にとっては湿度120%とかいうあり得ない数値になってしまう。これだとバランスが良くないので、氷が水蒸気を奪い取ってしまう。「蒸発(昇華)の逆の現象」=「昇華」が起こる。

 

氷にとって100%を超えた分の水蒸気は、水蒸気でいられないので全部氷になってしまうというわけです。

 

氷が水蒸気を奪い取るので、空気中の水蒸気量はそれ以上増加しません。すると、液体の水にとってはいつまでたっても湿度100%に達しないので、永遠に蒸発が続きますよねガーン

 

水、無くなってしまいますよね。氷ばかりが大きくなって。

 

雲の中でこの現象が起きるとすると、どうでしょうか?

 

水滴の雲の中に、何かの拍子に氷晶が少しだけ発生すると、周囲の水滴が消滅し、氷晶に生まれ変わりますポーン

 

はじめに小さな氷晶が少しあるだけで、周囲にある水滴から水蒸気を奪い取って全部氷にしてしまうのです。

 

恐るべし氷の力!滝汗

 

氷晶は、ある程度成長して重くなると落下するので、空に広がる雲にぽっかり穴が開くというわけです。

 

 

穴あき雲

本当に、絵心が破壊力抜群で申し訳ございませんポーン笑い泣き笑い泣き

何とか空に浮かんだ雲に穴が開いている様子をイメージしてくださいませ~滝汗

 

 

 

どうでしょうか?なかなか小難しい話になってしまいましたあせる

 

あまり上手に説明できなかったかもしれませんが、「穴あき雲」という不思議な現象がなんとなく分かったと思っていただければ幸いです。

そして天気現象について少しでも興味が増したという方がいらっしゃったらとても嬉しいですニコニコ

 

 

※今回はできる限りかみ砕いて説明するために、あえてあいまいな説明をした部分や、厳密には説明が足りていない部分があります。気象予報士試験を受験する皆さんは、この記事を読んでなんとなくイメージがつかめたら、テキストや専門書で正確な理論を学んでいただけると理解がはかどると思います。