福祉の法律 現場編

こんにちは!

七海と申します(^^)

 

学生時代、七海はほーんとにドがつくほど座学大好きでした。

ちらほらと感じている人がいるかもしれませんが、勉強系が大好きなので「国家試験の勉強?めちゃくちゃ楽しい!」と気が狂った人みたいな扱いをされていました。

あぁ、ドン引きしないでください……

 

こんな七海がいざ!現場に行くと、

「あれ?法律ではこうなってるよね?」

「え、そこ職員の判断なんですか?法的基準は?」

と、大混乱。

 

法律通りに施設は動いていない…!!

それが今の福祉の現状です。

 

 

障害者総合支援法

障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の 日常生活及び社会生活を総合的に支援するため、新たな障害保健福祉施策を講ずるものとする。

(厚生労働省より)

 

「地域社会における共生の実現」

施設はこれを具体的に「施設の夏祭りや初詣で、近隣住民と仲良くなる。」というアクションで解消しています。

 

いや、なかよくなれるか!?障がいがある人とどうかかわったらええんかわからんのやぞ!?

いつも叫び声するし、脱走してるし、子供に対して変な見方してるし、気持ち悪い!

これが現実でした…。

 

現状と理想がかけ離れすぎてますよね。いまだに施設を建てるとき苦情がきたりします。

 

 

また、「日常生活および社会生活を総合的に支援する」

 

範囲が広い!!

だから施設が仕事場なのか、遊び場なのかフワフワしてるんだよ!!

国からの手当(単位)は両方を兼ねないと施設運営(解説1)できないような金額なんです。

 

解説1)

福祉施設の経営の基本は

利用者の通所日×利用者の区分(障害の度合いのこと;高いと重度ということ)で収入を得ます。これに送迎を行うとプラスで手当、おひるごはんの提供をすると手当、といった積み上げ式になっていきます。

就労福祉施設経営者側としては重度な利用者と契約したい気持ちでいっぱいですが、いち職員は重度な利用者ほどリスクが高く、また就労には合わないのでせめて中間区分(区分4くらい)を望んでいます。

またこれ、対象が「手帳を持っている」が含まれることがあるんです。

これで困るのが「精神障害者」。

(知的障害者のもつ「療育手帳」と精神障害者のもつ「精神障害者手帳」はかなり待遇が異なります。なので知的障害がみられるけど、18歳までに診断されていないので精神障害者という方がかなり不遇な目にあいます。)

 

 

また、障害者の範囲(障害児の範囲も同様に対応。) 「制度の谷間」を埋めるべく、障害者の範囲に難病等を加える。

と、障がい者の範囲が広いように見えるこの一文。

 

難病と診断されるまで悪化させる必要がありますね。という状況が起きます。

言い方を変えると、「難病と診断される必要がある」ということです。

これは特に高齢者分野で見られますが、「認知症の症状が出たら要介護3以上とみなされるでしょう」という暗黙の了解があります。

じゃあ認知症と診断されないと高齢者施設に入れられない!(解説2)とご家族は思うわけです。

 

解説2)

介護保険法に記載ある入所施設

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設(病院)

介護老人福祉施設は簡単に言えばずっと入ることができる施設、介護老人福祉施設はリハビリをして退院を目指す施設なので短期的(40日くらい)、介護療養型医療施設は医療的な措置が必要(入院と似ている)な人向けの施設。

この介護老人福祉施設は要介護3以上でないと使えません。(現在は要介護3でも入れない都道府県も存在します)

 

利用者の症状悪化を待ち望むって…

予防することが福祉じゃない??とジレンマを感じる日々でした。

 

日常生活を送るうえで、

「障害者総合支援法を意識しながら支援しよう!」という人は誰一人としておらず、むしろ「なにその法律?」と法律じたいを知らない人のほうが多かったりします。

実際にこの法律について触れあったのは、私が市町村障がい者計画を更新するときくらい。

この計画は障害者総合支援法が根拠法ですよ的な。

 

 

 

障害者虐待防止法

障害者総合支援法より現場に身近だったのは

この「障害者虐待防止法」です。

 

そう、虐待!

これをやったら施設が機能停止するからね!という戒めとして職員一同徹底していました。

 

虐待は高齢者と障害者、児童それぞれに定義(解説3)されています。

 

解説3)

<高齢者>

・養護者からの虐待

 → 一緒に住んでいる人・世話をしてくれる人が虐待をする

・福祉施設従事者等による障害者虐待

 → 施設などで支援してくれる職員が虐待をする

 

<障がい者>

・養護者からの虐待

 → 一緒に住んでいる人・世話をしてくれる人が虐待をする

・障害者福祉施設従事者等による障害者虐待

 → 施設などで支援してくれる職員が虐待をする

・使用者による障害者虐待

 → 障がい者が働いている施設の上司が虐待をする

 

<児童>

・保護者による虐待(法律には何人も虐待をしてはならないとある)

 

特に施設では、虐待をしないこと・隠さないことを周知徹底していました。

虐待を見つけたら内部会議・悪質だと通報する。が基本でした。

 

え?内部会議って何?ってね。

通報は内部会議が終わって状況を整理した後、

「通報するかどうかを議論」したうえで判断でした。

法律ではこのようになっています。

 

ちがうじゃーん!法律には見つけ次第通報やん!!

と思って当時の管理者に聞いたところ、

「虐待が明らかになって施設を利用する利用者が減るといけないでしょ?」

「利用者の家族もここの施設が使えなくなること望んでないし。」

 

それってかくしてね?虐待隠蔽じゃない??

でもこれが現実だったりします。

利用者のパニックからついカッとなって殴ってしまった、なんて虐待を利用者のご家族にご連絡・謝罪すると「うちの子がすみません!もうしないようにきつく言い聞かせますから、引き続きそこの施設を使わせてください!」と十中八九帰ってきます。

その利用者のご家族は、施設が虐待をしたということより、私の子供のせいでその施設を使えなくなるかもしれない、もしかしたら営業停止になるかも!のほうが怖かったみたいなんです。

利用者の表面上の傷はなくても心にはしっかり傷が生まれたと思いました。

 

たしかに血も出てないただ当たっただけの行為を「虐待」として通報するのは違うなーとは思いますが、ついカッとなって…は故意ですよね。それは虐待でしょうと思っていましたが、この線引きが各施設によってあいまいなんですよね。

 

身近に感じているこの法律でさえも、実際はこのように作用しています。

一番怖いのは法律を守らないことじゃなくて、何のために法律ができたか理解していないことです。

だから福祉を勉強している学生さんには「どうしてこういう法律ができたか」のほうをしっかり考えてほしいなーと思うわけです。

 

 

いかがでしょうか?

法律を知らない人が現場にいるということは本当によくあることです。

しかも知っていてもその通り動いてない!ってことも多々。

(老人保健施設は短期しか受け入れられないけど、入院→老健→入院…と繰り返して実質入所みたいになってる、なんてことも苦肉の策で使われます。)

 

でも法律通りに作用してないことが悪!というわけではなく、緊急性の高い場合なんて法律通りに対処できませんからね。やっぱり根本にある意識のほうが大事なわけです。

(現場は常に緊急!臨機応変にしなきゃ!という人もいますが。)

 

では次回は社会福祉士と似た「精神保健福祉士」をご紹介します!

さて、社会福祉士と何が違うのかな?ということもお話しできたらな。

 

第6回