日本画の知識:その6・禅画 | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。


禅宗 の和尚さんが描いた絵画「禅画(ぜんが)」

美術史本流からのはみ出し絵、アマチュア絵画として、

一部の賛美者以外からは無視されて来たが、これも欧米で

「ZENGA 」として注目されたことから、再認識されました。



白隠自画像
自画像
1767年・一幅・紙本着色・133.3x57.0cm
龍澤寺(静岡県)
白隠慧鶴(はくいん えかく)

禅宗には師が弟子に免許状として、自らの肖像を授与する
頂相(ちんぞう)という習わしがあり、専門の絵師が普通は
描くのだが、白隠は自ら描いて渡したという。


禅問答という言葉があり、それを理解するには独特の

感性が
必要だが、それの絵画版とでも言うべきなのか、

普通の
絵師の絵画史からはみ出した絵が独自に発展していたのだ。


達磨蔵
達磨像(だるまぞう)
18世紀・一幅・紙本墨画・130.8x55.7cm永青文庫
白隠慧鶴(はくいん えかく)

上部に「どうみても」という一言だけの賛が書かれている。
どうみても俺は達磨だろう、あるいは、どうみても俺は白隠
だろう・・・など禅問答を仕掛けられている。
ヨーロッパを巡回した「ZENGA」展で最大の喝采を浴びた
作品のひとつという。



丸・三角・四角
まる さんかく しかく
1830年頃・一幅・絵本墨画・28.3x48.1cm・出光美術館
仙崖義梵(せんがい ぎぼん)

抽象画にもなぞなえられ「禅画」の代表選手として著名な作品。
これは宇宙の真理だ!なんて解く人もいるらしい。あなたなら
どう解き
ますか?
(陰の声:???たまには頭を使えということだな、きっと
(・・; )


老人六歌仙
老人六歌仙(ろうじんろっかせん)
19世紀・一幅・絵本墨画・52.2x59.2cm・出光美術館
仙崖義梵(せんがい ぎぼん)

さすがに禅問答だけでは和尚もまずいと思ったのか、この絵には
賛がたっぷり書かれています。では、翻訳(?)してみましょう。


しわがよる ほくろができる腰曲がる 頭がはげる 

ひげ白くなる
手は震う 足はよろつく 歯はぬける 

耳は聴こえず 目は疎くなる 
身にそうは 頭巾襟巻

杖眼鏡 たんぽ おんじゃく しゅびん 
孫の手 

聞きたがる 死にともながる 寂しがる 出しゃばりたがる

世話やきたがる くどくなる 気短になる 愚痴になる 

心ひがむ
欲深くなる またしても 同じ話に 子を誉める

達者自慢に 
人嫌がる

注:おんじゃく(温石):石を暖めたカイロのこと
  たんぽ(湯たんぽ)、しゆびん(尿瓶)


え、読まなきゃよかったって、このような自虐ネタは当時大変

受けたそうですよ。


さらに、こんなものもありますよ。

すたすた坊主
すたすた坊主
18世紀・一幅・紙本墨画・52.8x94.0cm
早稲田大学會津八一記念博物館・富岡コレクション
白隠慧鶴(はくいん えかく)

江戸時代は下級の僧侶が手間賃をもらって、代参りする習慣が
あったようだ。賛は読まない方がいいよ、きっと、代参りでも
ご利益は変わらないから・・・とか書いてあるに違いない。
(陰の声:坊主丸儲けだよ
ね(^~^ )


禅画書籍
欧米で紹介されている「禅画」の書籍


(陰の声:外国で再発見されて、逆輸入され評判になるのは日本の常だね(>_<)


    <日本画の知識:その6・禅画・了>



スーラ・ウタガワの
私撰:関西名所図絵・美術館のご案内


このブログの各ページで個別に発表した、スーラ・ウタガワ作品の
名所絵を場所別に集め「美術館」と称して再度アップロードしています。


第1室:大阪南部の名所図絵   開館中
第2室:大阪北部の名所図絵   開館中
第3室:大阪湾岸部の名所図絵  開館中
第4室:神戸地区の名所図絵   開館中
第5室:京都地区の名所図絵   工事中

*各展示室へのご入場(アクセス)はサイドバーのブックマークをご利用ください。

以上、ご案内申し上げます。     館長:スーラ・ウタガワ