2つのサインがあるマネの絵 | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

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画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。


普通、
1つの作品には画家のサインは1つが普通だよね、


でも、あのマネの絵には、なんと2つのサインがある作品がある。

それが、この作品です。


笛を吹く少年
笛を吹く少年 (1866年・油彩・161x97cm)
マネ

そう、美術教科書などでも見る、マネの傑作です。
日本の浮世絵の影響を受けたといわれる平坦な色彩と
構図は、発表当時は不評でサロンにも落選しました。


で、どこにサインがあるかというと

まず、ここに1つ描かれています。

少年サイン1
笛を吹く少年 / 部分-1

左足の画面右上に第1のサインがありますね。


そして、第二のサインはつま先のさきの右下隅ですよ。


少年サイン2
笛を吹く少年 / 部分-2-1


え、小さくて見えにくいですか?、では拡大します。



少年サイン2
笛を吹く少年 / 部分-2-2


ほら、こんどは画面右下に小さく描かれているでしょ。


(陰の声:え、でも、最初の全身図も部分ー1にも描かれていないよ

笛を吹く少年って、2枚あるの?)


陰の声君、よく気がついたね。答えは簡単で、1986年に作品の

黄変したニスを軽く除去する修復処置をしていたのだ。

ほら、部分-1と部分-2を比べると黄色味がなく、すっきりして

いるだろう。


このとき、画面右下隅に灰色の絵の具を塗りつぶした跡があり、

それを取り除くと、なんともう1つのマネのサインが現れたのだった。


(陰の声:研究者は、なぜマネは2つもサインしたのだろう?な~んて、

いかにも謎のように言っているが、そんなこと決まっているじゃん。

右下隅のサインが気にくわなくて塗りつぶし、右奥に大きく描き直した

んだよ。勝手に絵の具を剥がさないでよ
( ̄^ ̄  )



そうですね、ごっこスーラも絵を描くから、サイン場所の修正なんぞ

バンバンやります。まったく失敗の跡なんか穿り出して欲しくありません。


しか~し、マネは深~く考えた末にこのサインの修正をしたようです。


はい、ここで突然ですがクイズですよ!



問 題:下記の○○○○に当てはまる文字を入れてください。

この絵は発表当時ペラペラの○○○○みたいだと言われて

評論家達に散々あるものに例えて揶揄されました。

さて、なんといわれたのでしょうか?


(陰の声:もう、すみませんね、ごっこスーラは大学時代の作品の間、

美術クイズがだせなくて
チャンスを狙っていたので・・・)


解答の前に、なぜサインを描き直したかという説明をしますと、

斬新な絵なのに平面的だと言われるのが
マネも悔しく思ったのでしょう。

そこで、サインを人物の奥に描くことで
空間を演出しているのだ。

だから、このサインはなかなか奥が深いのだよ。(座布団1枚!)


みなさんもオルセー美術館に行かれることがあれば確認してくださいね。


thinking time 



thinking time 


thinking time 


・・・TIME-UP


さて、解答です。


それは、”トランプ” もう少し詳しく言うと、

トランプの”ダイヤのジャック”と、揶揄されたそうです。

さらには、”貸衣装屋の看板”などとも言われたと伝わっています。



時代の開拓者は常に叩かれるのだ。

いま、芽が出ていない方々もめげずに頑張ってくださいね。



  <美術雑トピックス:2つのサインがあるマネの絵・了>






スーラ・ウタガワの
私撰:関西名所図絵・美術館のご案内


このブログの各ページで個別に発表した、スーラ・ウタガワ作品の
名所絵を場所別に集め「美術館」と称して再度アップロードしています。


第1室:大阪南部の名所図絵   開館中
第2室:大阪北部の名所図絵   開館中
第3室:大阪湾岸部の名所図絵  開館中
第4室:神戸地区の名所図絵   開館中
第5室:京都地区の名所図絵   工事中

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以上、ご案内申し上げます。     館長:スーラ・ウタガワ