それなりに美術の本なんぞを見ることもあるのだが、
なかなか理解できない美術用語もある・・・
(陰の声:な~に言ってんの、ほとんどわからないくせに。)
コホン、そんなわけで、私も勉強することにしたのだが
ふと、気づいたね!?
これをブログのネタに加えよう、どうせ読者の方も
知らない方が多いだろうから(失礼!)多少いいかげんでも
構わないだろうし・・・
そこでネットのフリー百科事典ウイキペディアにならい
”美術ことばSeuratpedia"(スーラペディア)を
私のブログのテーマに加え、受け売りウンチク解説を書いて
ときどきアップしようと考えました。
皆様一緒に勉強しましょうね。
(陰の声:また、長いブログになる予感が・・・)
では、最初は、前のブログ「大画家をまねた大画家」で少しふれた
”アトリビュート”のおさらいからスタートしたいと思います。
アトリビュート ( attribute )
原義は「特質」、美術に表現された聖人や神話の神々、擬人像を
判別する目印となるもの。新旧聖書やギリシャ・ローマ神話に
由来があり、子供の頃から聖書や神話に親しんでいる欧米では
常識の知識とされているが、なかなか日本人には敷居が高い。
まあ、簡単な事例をあげるので勉強のきっかけにしてね。
赤い衣にブルーのガウンは聖母マリア
赤色の服にマントはくすんでいるが青色の女性はもちろんマリア、
下にいる子供のうち、一人はイエスだが、もう一人は誰?
これも持ち物でわかります。ラクダの毛皮の衣に葦の十字架を
持っているのは洗礼者ヨハネと決まっているのです。
ラファエロの絵から約100年後に描かれた絵だが、やはりマリアは
赤い衣に青いガウンを着けてる。さらにこの絵は受胎告知を示す
必須アイテムがいっぱい描かれているよ。
まず、右側にいるのが告知をした大天使ガブリエル(百合の花が
アトリビュート)、白い鳩は聖霊を、マリアの読んでいる本は
救世主の誕生を預言する旧約聖書のイザヤ書、右下にある花瓶の花は
マリアの純潔をあらわす百合の花だ。
そして、天上からの光と受胎告知のアトリビュートがすべて
描かれている作品だそうです。
イエスの弟子、十二使徒もみんなアトリビュートを持っているよ。
ペテロは教会を建てよとキリストに命じられたことから、
天国の鍵がアトリビュートだが、ローマで逆さ十字の磔刑になった
ことから逆さ十字架もアトリビュートになっている。
ちなみに、現在のバチカンのサン・ピエトロ大聖堂は殉教した
ペテロの墓の上に建てられたと言われている。。
その他の使徒たちもみんなアトリビュートを持っているのですが、
長くなるので代表例だけ述べます。
聖トマス :復活したキリストの脇腹の槍傷のあとを確認した使徒、
また、インド布教中に槍に刺されて殉教したので「槍」
聖フィリポ:布教に行ったスキタイで十字架で竜を撃退したので
「十字架」と「竜」
聖マタイ :元徴税人なので「財布」また、複音書マタイ伝を書いた
ことから「書物とペン」
ギリシャ・ローマ神話のアトリビュート
ヴィーナスの誕生 (油彩・1863年)
アレクサンドル・カバネル
女性が海で溺れている絵ではありません。
上空にキューピット達が飛んでホラ貝を吹き鳴らして
ビーナスの誕生を祝福しているのです。
愛の女神ビーナスにはキューピット、定番ですね。
この絵には描かれていませんが、リンゴ・薔薇・鳩・ホタテ貝
・白鳥などもビーナスを示すアトリビュートです。
では、ギリシャの神々のアトリビュート例も少々・・・
ゼウス(全能の神):雷(稲妻)・王しゃく・鷲
ポセイドン(海の神):三叉の矛・馬
アポロン(太陽の神):弓矢・竪琴・月桂冠
バッカス(酒の神):葡萄の蔦の冠・葡萄の房・山羊・豹など
一昔前までの西洋画はアトリビュートを前提にして描かれているので
欧米の人には絵の内容が理解でき、より楽しめたが、
われわれ東洋の人は、さっぱり意味がわからず、ただリアルで
暗い絵だなという感じであった。
だから、日本では明るくわかりやすい(見たまま・単純?)
印象派の絵が人気だ!という説もあります。
まあ、これから宗教画や神話画をご覧になるときの参考にして
いただければ嬉しいです。
でも、日本の絵や彫刻でもアトリビュートはあるよ、
たとえばお地蔵さん(地蔵尊)は錫杖(しやくじょう)をお持ちですし、
薬師如来には薬壺(やつこ)が描かれているはずです。
これらは持物(じもつ)といいますが、まさにアトリビュートの
適切な日本語訳ですね。
今回は新テーマの挨拶もあったので少々長くなりましたが、
これからはできるだけ簡潔にこの”美術ことばスーラペディア”を
ときどきブログに混ぜて行きたいと思っています。
(陰の声:ネタが増えてよかったね、でも簡潔に頼むぜ。)
<美術ことばSeuratpedia "アトリビュート":了>