好きな画家、税関吏ルソー | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

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画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。

私は、このブログでも広言しているように、スーラやゴッホの作品が好きだ。

しかし、まだまだその他にも好きな画家達かいる。

その一人が税関吏ルソーと呼ばれる画家、アンリ・ルソーだ。

私・肖像
私自身・肖像画=風景  油彩
アンリ・ルソー
ルソーは肖像画に風景を加えた描き方を画期的とし、このタイトルのように
「肖像画=風景」という新しいジャンルを開発したと主張していた。
(少し?いや、大いに変わった人であったようだ)

19世紀末のパリで入市税徴収員だった彼は公務員をしながら、

油絵を描いていた。(日曜画家の元祖ですな)

しかし、年金支給の年齢になった49才のとき、画家になる決心をして

絵に専念を始めた。

子供の落書きのようだと言われた絵を描く、美術学校も出ていない

素人の中年に、周りは正気の沙汰ではないと思っていたと言われています。


結婚式

結婚式  油彩
アンリ・ルソー

遠近法が苦手なルソーはこの絵の花嫁のように空中に浮かんで
見える描き方で、鑑賞者の爆笑にさらされたと言う。
そういえば、最初の肖像画もつま先だっているし、左下の二人の人物も
異常に小さく描かれている。

蛇使いの女
蛇使いの女  油彩
アンリ・ルソー


しかし、ルソーだけは自分の才能を信じていた。

会費をだせば誰でも参加できる「アンデパンダン展」の常連となり

鑑賞者の爆笑や嘲笑も意に介さず(本当はどうだったかわからないけど)

パリ市の植物園と子供用図鑑を見てこの作品「蛇遣いの女」などの

ジャングルシリーズを描きあげたという。

(私はこの方法を全然ばかにしない、インスピレーションの元は

何を使ってもいいと思うから)

夜会
ルソーを称える夕べ  油彩1979年
ジョン・ベンステッド
この作品はルソーのものではありません。ピカソが主宰した
ルソーを主客としたパーティの様子を後に描いたモノです。

乏しい年金(日本と同じだ)とバイオリンの家庭教師で稼ぐ貧しい生活に

あえぎながらも懸命に絵をかくルソーにも、わずかながら理解者がでてきました、

彼らが開催してルソーを励ましたのが有名な「ルソーを称える夕べ」という

パーティです。この夜会の主催者は若き日のピカソ、参加者にはブラック、

ローランサン、ブラマンク、詩人のアポリネールなど後世に名を残す

蒼々たる若手メンバーが集まり、60代のルソーをもてなしました。

ルソーは集まったメンバーの主張や未来など知るよしもありませんでしたが、

とても喜んでいたといいます。

そして、帰り際にピカソに向かってこう言ったと伝わっています。

「君と私は現在の最も偉大な画家だ。君はエジプト風で私は現代風だがね」

彼のこの自分を信じる心こそすばらしい、自分を信じられる内は大丈夫だ。

ちなみに、ピカソのエジプト風というのは、彼のアフリカ彫刻などを

モチーフとした作品をこの頃描いていたことだと言われています。

(私も後10年くらい頑張ったら誰かに、夜会は無理でも昼食会くらいには

招待していただけるよう頑張ろう・・・)

税関吏ルソーについては、まだまだネタがあるので、

次回ブログも関連した続きを書くつもりです。

最後に少々恥ずかしいけど私の作品も掲載しておきます。(自信を持て!私)


動物園
関西名所図絵之内
天王寺動物園と象の春子  油彩・F10号
天王寺動物園は大阪で一番大きい動物園、そして象の春子は
1950年に来園した推定年齢65才の人気おばあちゃん象です。


感銘を受けると素直な私はすぐ影響を受ける、この絵にもこっそり

ルソー師匠を取り入れている、おわかりだろうか?

そう、手前の植物をルソー師匠の「蛇使いの女」からいただいているのだ。

最初はマネでもだんだん消化して自分の世界を作りたいな、

でも、なかなか師匠の持つ高みにはいけないものだ。

(世の中そう甘くはない・・・)