今日の日本経済新聞の安藤和津さんのコラム。「雨の日の満員電車は最悪だ・・」という書き出しで始まるそのコラムは、電車の中で優先席に横柄な態度で座る若者との不愉快なやりとり、そして渋谷のスクランブル交差点でスマホ片手の若い女子がぶつかってきて尻餅をついたのに、わき目も振らず立ち去る彼女に「ごめんなさいはー!」と叫んだエピソード。
それを読みながら最近、僕自身が見聞きする通勤電車の中の風景を思い起こす。
いつと比べて昔というかわからないが、昔に比べてイラついている人が多いように感じる。
ある日、僕の目の前で会社員風の男性同士の肩が「ドン!」とぶつかる。
どちらかと言えばぶつかられた方の男性が過ぎ去っていく男性に対して悪態をついた。きっと「気をつけろ」とか「何やってんだ」的な内容だったろう。そして、そのまま前に向き直り歩いていくその男性に向かって先ほどのぶつかって来た方の男性が走り寄り、肩を掴んで無理やり歩みを止めさせる。
ぶつかって悪態をつくのは通勤時間にありがちな光景かも知れない。しかし、わざわざ戻ってきて諍いを始める光景はちょっと珍しいし、あまり見たことのないものだった。
言い争う二人は何にイラついているのだろう。
僕は小学生の時から電車通学だった。だからいろんな大人を見てきたし、いろんな電車内での言い争いを経験してきた。
でも最近の電車の中にいる人たちのイラつき方はこれまでの人生で見たことのないシーンが多い。
これまでの電車内というのは譲り合いの精神に溢れていて、時たまイラついている人が騒いだりするのを「まあまあ」と言った雰囲気でやり過ごしていることが多かったように思う。でも最近は違う。喧嘩が始まると、そのうちどちらかが刃物を出してきそうな展開になることが多いように感じている。
かつてしばらくニューヨークに住んでいたことがある。その時言われたことは、もしも変な人に絡まれた場合は抵抗しないこと。
殺されたら元も子もないから、ということだった。
確かに色々な価値観の人が住む外国の街ではそういうところがある。
例えば電車の優先席。優先席に座って席を譲らない若者に中高年が説教をする風景はとても日本的だと感じてきた。
海外だったら(場所にもよるが)注意したことにカッとして何か被害を被る方がよほど怖い。
いつの間にか日本は外国になってしまった。
僕は52歳。紛れもない中年だ。
でも、優先席に座っている若者に注意をしたことは一度もない。
果たしてそれが良いことなのか悪いことなのか。僕には正直判断することができない。