つけパスタなるものがある。
 これはいわゆるスパゲッティをミートソースにつけて食べるもの。
 僕はこれをお台場のダイバーシティのフードコートにあるお店で体験したのだが、単にスパゲッティとミートソースがつけ麺風に分かれて出てくる。その上トッピングと称して温泉たまごと粉チーズをかけて混ぜて食す。
 ここまで来ると新しい食べ物だ。
 器にしてもそばとは違って太くてコシのあるパスタをつける用に、そば猪口に較べれば少し大きめの器になっている。
 今までありそうでなかった感じ。もしかするとこれまで日本中でいろいろな人がチャレンジしているとは思うが、このお店はかなり成功している気がする。

 ラーメンが中華料理に起源を持ちながらも日本で独特の進化を遂げ、中国に逆輸入されるほどのものとなり、ニューヨークでラーメンダイニングが一番新しいおしゃれなスタイルとして流行っていることや、インド起源のカレーがやはりラーメン同様日本で独自の進化を遂げていることを考えると、パスタにもその流れがやってきたと思えるものだった。
 これはすごくヒントになることでは無かろうか?
 その一方で世界では今日本食ブーム。
 近年驚かされることのひとつが、箸を上手に使える外国人が多いことだ。
 少し前はちょっと、ちょっとと思わず声をかけて注意したくなるような使い方をよく見かけたが、最近ではすごく自然に使っていてその風景に違和感さえ持たない。
 それだけ和食、中華などをはじめアジア食が世界中で定着していることの表れであろう。
 アメリカで進化したカリフォルニアロールもさることながら、和食起源で新しい食のスタイルも生まれている。日本酒も世界中で飲める酒になりつつある。

 クリエイティブな仕事への取り組み方として僕が仕事を始めた頃に教えられたことのひとつに「イミテーション・バリエーション・クリエーション」というのがある。
 新しいもの、オリジナルは突然生まれない。必ず「イミテーション」模倣から始まり、それを応用して行く、一部を変化させる「バリエーション」、そして応用の結果、新しいかたちとなる「クリエーション」というステップで辿り着くということだ。
 これをラーメンやカレーライス、そしてパスタについて考えるとよくわかる。
 オリジナルに対するリスペクトを失わずに新しいものへと変化させていきオリジナルを生む。
 これはそもそもオリジナルが確固たる文化的強さを持っているから故、バリエーションするだけの価値があるし、次のオリジナルを生む原動力となる。
 そういう意味ではイタリア料理や中華料理の強さ、この場合強さは「美味しさ」になるわけだが、その強さは言うまでもなく、海外でアレンジされる日本食にしてもその文化的強さは我々日本人が誇るべきもの。
 こうした伝統と歴史のある文化がお互いを刺激し合って新しい時代を作って行く。

 日本経済が停滞して久しいが、今のところ豊かさの指標として用いられるGDPは「国民が作り出す付加価値の総和」である。これはいわゆるクリエイティブのことだ。
 こうした「つけパスタ」のような発想こそが日本を救うと思うのだがどうだろうか。
 ちなみにつけパスタの店はパスタリアンという店で、この台場の店が一号店らしい。