不思議なもので厳しい環境にいると

身体や環境に慣れてくるのと

要領も良くなってくる(笑)

それと自信を失いつつも投手を続けれたのは

コントロールが良かったことで

打撃投手の機会が多かったのが要因。

そのうち主力組の苦手なコースがわかり

試合形式になると苦手なコースに投げることで

それなりのピッチングができるようになった。

もちろん毎日の練習をこなすのが必死で

誰かと比べる余裕なんてないし

与えられたことを何とかこなすだけ

自分がうまくなってるなんて微塵にも思わない

そんな中、夏の合宿前にチャンスが訪れる

ベンチ入りの最後の枠を競うことに。

2年生の先輩。

投手経験は浅いのだがもともと元気があり

ムードメーカーでもある。

そして佐野少年。

監督いわく次の練習試合で結果が良いほうが

ベンチ入りだ。与えるのは1イニング。

先輩は所謂教育係りで日頃から厳しい。

急に互いにライバルとなったからか

あまりいろいろいわれなくなった。

それはそれでありがたかったが(笑)

たぶん気合いも入っていたのだろう。

当日。

当人としてはさほど緊張はしていない。

今更、背伸びしてもしょうがないし

ただ打たれて無様な姿は見せたくないと

気持ちだけは強かったのを覚えてる。

いよいよ登板。

最初は当然佐野投手から。

普段の練習で相手を観察することになれたのと

まぁマウンド度胸もあったことで

簡単に追い込み最初のバッターは三振。

これは後々、大きな基礎となっている

監督からの教え通りのピッチング。

初球は打者の一番遠い所でストライクを取る。

次は振ってくれたり、ストライクを取れたら

ラッキーぐらいで力まずに投げる。

上手く追い込めてもすぐに勝負いかない。

慌てずボール球を打たすつもりで投げる。

意識するのはいつもカウントを有利にすること

監督から教えられたことはたくさんあるが

全てのことが大きな財産となってるのは

言うまでもない。

監督、コーチには感謝しかないね。

未だに会うと緊張するけど(笑)

なんせ厳しかったから(笑)

ワンアウトを取って落ち着いたのか

次のバッターに対しても同じように

ストライク先行。

追い込んでから慌てない。

ボールで誘って

次のボールで空振り三振。

そうなると守ってくれる先輩達も乗ってくる。

憧れのキャプテンから声掛けられ

その気になって

次のバッターも見事に三振!

最高の結果となりました。

次は先輩の番。

端から見てもガチガチに緊張してた。

何とかランナーは出すも0点に押さえるが

内容としては佐野少年が優位に。

夏のベンチ入りを見事に掴んだ瞬間でした。

まぁ、他の先輩からはいろいろ言われたけど

そんなことを気にする人ではないので(笑)

純粋にベンチ入り出来たことを喜んだ。

あえて言わしてもらうが

ベンチ入りしたからって

特別扱いなどは何もない。

相変わらず厳しい練習と

厳しい上下関係は続くのである。