

見られなくなった。いろんな意味でそういう
時代を迎えているのだろう。
先日、本棚を整理していて以前、定期購読していて
今は廃刊になっている音楽雑誌「FM fan」を目にした。
この1999年11月の号にメゾ・ソプラノのアンゲリカ・キルヒシュラーガーの
記事が出ていたのに気がつく。その時期にリリースしたのが
ララバイ(子守唄)。有名なシューベルトやブラームスの
子守唄などが収録されている。クラシックにしては
珍しいアルバムだ。この記事によればケルビーノ、オクタビアン
オルロフスキーなど、いわゆるズボン役で人気のキルヒシュラーガーとある。
久しぶりにこのアルバムを聞いてみた。魅力をたたえた美しい声だ。
ところで、子守唄は日本でも多く採録されており
旋律はどれも類似しているそうだ。最もひろく歌われていた
「坊やはよい子だねんねしな」など女性らしいこまやかな
情愛をたたえた歌詞が多い。「ねんねころろん」のフレーズは
古い子守唄の基調で、眠りの誘いを示唆している。
日本の子守唄は母親より、子守をする女性によって伝承されてきた。
子守唄の作者も大体が彼女らであったらしい。ずっと以前には雇い女性の子守も
いたそうだ。
西洋にも子守唄の流れとジャンルがある。「ねんねんころり」とでも
訳せそうな英語のララバイlullaby、イタリア語のニンナ・ナンナninna-nanna の
類。ただし、西洋の子守唄は宗教的はニュアンスを伴い
聖母マリアのイメージがつきまとう。
このへんが日本と西洋の違いで、日本の五木の子守唄などは
土着性が強いように思える。
総理官邸の美しい国づくりのプランに日本の子守唄が
議論されたようだが、取り上げる機運にはなかったようだ。
参考 雑誌「FMfan」(共同通信社) 世界百科事典(平凡社)
写真人物はキルヒシュラーガー。