
シンポジウムからの続き。
このシンポジウムからは、現代日本の抱える様相みたいな
事象が浮き上がってくる。パネリストの皆さんの
言説を当日、配られた資料を中心に紹介したい。
サステイナブルな社会を求めて
ー新しいローカル・ガバナンスの構築へー
開催日 2007年2月24日
場所 立命館大学
基調講演 東京大学経済学研究科教授 神野直彦氏(パネリストにも参加)
パネリスト 長野県下条村長 伊藤喜平氏
奈良県生駒市市長 山下真氏
きょうとNPOセンター事務局長 赤澤清孝氏
立命館大学政策科学部教授 平岡和久氏
進行役 立命館大学政策科学部専任講師 藤井禎介氏
※サステイナブル…持続可能なの意味
ガバナンス…統治、政治、政体
まず、<神野教授の考え>について
財政の破綻をきたした、北海道・夕張市の゛夕張現象゛を例に挙げながら
「財政の使命は、国民生活を保障する事にあるのを忘れてはならない。
財政破綻は、財政が国民生活を保障する使命を果たせなくなるから問題であり、
国民生活を保障する使命を放棄して、財政収支の帳尻合わせを達成しても
意味がない」としている。
また、「財政再建戦略と民主主義活性化戦略が、せめぎ合ってきた地方分権改革は
今、その分かれ道にある」として、「ゆとりと豊かさを実感できる社会」を実現するため
地方分権改革を決意したことを忘れてはならないと主張。
神野教授は最近、共著で<脱「格差社会」への戦略>(岩波書店刊)を出版されている。
この中で「小さな政府」でなく、有効に機能する「ほどよい政府」を提唱している。
次は、<下条村の伊藤村長の行政の現状>についての報告
下条村は長野県の最南端下伊那の中央に位置。資料が興味にあふれている。
全国の過疎化が進む中で、この村では人口が4004人(平成7年)が、4221人(平成18年)と増加。
また、生涯出生率は1.80(平成5~9年)が2.12(平成15~17年)と伸びている。
ちなみに全国平均は1.25(H17)。
男子平均寿命は80.1歳で長野県下1位、全国6位。
職員の意識改革に取り組むため59人から 35人に減員している。
ユニークな事業として資財支給がある。生活環境を整備するために
住民自らが施工する工事に関し、村がその資財を支給すること。年間予算は
2千万~3千万円。しかしなぜか政治家が多く、県会議員が8人、国会議員が3人いる。
出生率を伸ばした小さな村の「自律(律)」に向けた村づくりがある。
<生駒市の山下市長の取り組み>
山下市長は昨年、既成政党の推薦候補を破り、当選した37歳の若さ。
生駒市は人口約11万人余りの、大阪のベットタウン。
市政の取り組み課題として、少子化や都心回帰による人口の鈍化、
それに伴う税収の減少、補助金や地方交付税の減少、高齢化に伴う
医療、福祉関係の支出の増大をあげている。
そこで生駒市の「新しいローカル・ガバナンス」として、次の点をあげる。
1)市長・職員と市民…PLAN,DO,CHECK,ACT全ての段階において
市民の力を借りる。
2)積極的な市政情報の提供(市公式HPの充実、実施計画の公開など)
3)政策決定への市民参加の促進(各種審議会などへの公募市民の登用)
4)根回しの廃止 等々
<きょうとNPOセンターの赤澤事務局長の取り組み>
センターの理念として市民が自立性を持って、主体的に参画できる社会づくりを
目指している。
市民社会構築のための4つのアクションを掲げている。
1)NPOの基盤強化
市民金融、ボランティアコーディネーションなど
2)市民社会の創造
NPOフオーラム開催、地方議員との勉強会など
3)交流・連携
行政への政策提言、各種委員会への人材派遣など
4)教育と調査・研究
市民の力で「単線型社会」から「複線型社会」へ目指し、
市民、行政、企業が互いに手を携えて創造する「新たな市民社会」
=統治型ではない「協治型社会」へ。
<平岡教授の資料>
「ローカル・ガバナンスと政策実践研究の課題」として
夕張市は、なぜ財政破綻したかの論点を述べ、地域は誰がつくるのかのテーマの中で
松本市、阿智村など実践研究に論述した。
以上かいつまんで記した。
世界の動きがグロバール化する中で
日本の今後の針路を探る上で、参考になるシンポであった。