「久しぶり、元気してた?」
いつも笑顔で迎えてくれる
日本人離れしたイケメン棟梁は
大柄で温厚な人柄のまま
誰からも好かれるタイプだし
腕も勘も良い職人さんだ。
学生の頃からモテモテだった事も
爽やかな感じで伝わってくるし
嫌味や癖のない好感度を含めて
そのまま雑誌のモデルでも
通用するような迫力もある。
平井ケンとダルビッシュゆうと
トムクルーズのイイとこ取りを
したような雰囲気のある
そんな彼は幼い頃から
少年野球に明け暮れて成長し
地元でも有名になっただけじゃなく
高校を中退する間際までは
幾度もプロのスカウトを受けたり
有名な大学からも特待生として
オファーがあったらしい。
でも、突然の家庭事情により
生活基盤が荒れて乱れ
そのまま反社会的なスカウトが
現実になってしまい
夢とか希望なんてもうすっかり
忘れてますから、、って
飲みながら話してくれたのは
もう十数年も前の事だ。
久しぶりに会った彼は
やっぱりデカかった!その体格から
想像するに、もしかしたら
メジャーリーグでの活躍も
もしかしてたかもしれない!?
って話を振っても
「そんな奴はごまんといる世界なので
やっぱり運とか環境も大切な資質で
実力ってことでしょうね」
「どの道でもこの世界でも、、
たぶん一緒なんじゃないっすかねぇ」
って呟きタバコを咥えながら
静かに笑っていた。
「昔の話なので、、」と
いつも笑って誤魔化されるけど
そういう話は結構聞くものなので
世の中にはもしかしたら
もしかしたはずの逸材を
何処かに放置して捨てていたり
誰かが見逃して無くしていたり
手立てもないまま野放しにして
消してしまったなんて残念な話が
相当数あるはずなのだ。
本当に真面目な努力家だけが
成功するとも限らないし
適当な博打で当っても
維持できるのかは別問題とか。
資金や環境が整い態勢は完璧なのに
怪我や病気で挫折してしまったり
設備や情報は揃ったにしても
メンタルケアの方が大事だったりとか。
何かが足りなくて何処かが不満で
何でか物足りない何かを
それぞれがどこかで支えてて
その支えてる人をまた誰かが
何かでフォローしていて
そのフォローがバグってバズって
炎上しようと鎮火しようと
それらが何故かまた
何処かの誰かの何かに繋がり
回って廻って巡って周ってくるのが
この社会なんだしね。
「俺は逆に幸せかもしれん!
スカウトとか受けたことも無いし
何か期待される実力も何も無いから」
「無能だと諦めも早くて
次へ次へと進みやすいし
過去に未練もないわけだしね♪」
”でも最近は髪もなくなってるやん!
どうしたの?何かあったの⁉”
「そ、、それは関係ない話やっどね!
特に変わった事は何もなかよ!
ただの遺伝とか加齢とか
運命とか宿命には従うだけ! 苦笑」
久しぶりの再会で
180センチ以上から見下ろす
僕の頭頂とは一体、、
どげな風に見えちょっとか
ちょっと気にはなったけども。
”何も無いってある意味
最強じゃないっすかぁ~”
センスが無いからダサいのに
ダサい事を恥ずかしく思わない
それって痛いってコトじゃないの⁈
財産も資産も無いから不安定なのに
貧しい辛さに慣れてる様が滑稽なのは
やばくて危険だって事じゃないの!?
魅力も魔力も腕力も無いから
拘りやプライドや美学も無い、、
って寂しく虚しい事じゃ無いの?
日本人離れしたイケメンと
原始人みたいな日本人が
缶コーヒーをチビチビ飲みながら
語り合う様子を秋の空が
吸い上げてしまったので
「久しぶりの忘年会で、また……」
ってお互いに挨拶を交わして
年末の再会で飲む約束をした。
だからまだまだこれから
頑張るしかないやーね。
有能だった人も無能のままの私も
期待されてた過去があっても
忘れたい過去ばかりな日々でも
どうでもこうでも
そうでもああでも
目の前の建物に集中して
己の最善を尽くすことが
建築業は大切なのだ。
頑張れ、ガンバロー!


