四千両小判梅葉
(しせんりょうこばんのうめのは)、
配信にて視聴。

小悪党の富蔵は、
かつて悪事に手を染め、
捉えられたこともある
いわゆる「入れ墨者」。
おでん屋は、世を忍ぶ
仮の姿かもしれません。
おでん燗酒、
甘いと辛い…
おでん屋の呼び声ですが、
悪事の企みを
カモフラージュする声
でもあります。
この演目は長らく
尾上菊五郎丈が演じてきました。
今回、尾上松緑丈は、
初役で勤めましたが、
後ろ暗いところのある感じが
ぴったりでした。
さて、富蔵は御金蔵破り
(幕府の御用金を盗む)という
大それた悪事を働くものの
やがて捕らえられます。
牢の中の様子が、
リアルに描かれています。
(作者の河竹黙阿弥は、
実際に入牢していた人から、
取材をしたとか…)
囚人たちにも
ヒエラルキーがあります。
大きな罪を犯した富蔵は、
ここでは、役付きです。
ここは地獄の一丁目で
二丁目のねえ所だ…
こう言って、新入りの囚人に
牢内の掟を言って聞かせます。
そんな富蔵にもやがて、
刑が言い渡されます。
市中引き回しの上、獄門…
立派に死ねよ…
仲間の囚人たちの声に見送られ、
富蔵は不敵な笑みを湛えながら
牢を後にします。