国立劇場にて、
9月、10月と上演されている、
「妹背山婦女庭訓」。
物語と現在の地図を
重ね合わせてみます。
10月に上演されているのは、
「三笠山御殿」を中心とした場面。
三笠山に、
蘇我入鹿の館があるという設定です。
①三輪山
「杉酒屋の場」
(今回は上演されていません。)
お三輪の家、
造り酒屋の杉酒屋があります。
お三輪は隣家に最近越してきた、
美しい園原求女に夢中。
そこへ、身分の高そうな姫が
訪れて来て三角関係に⋅⋅⋅
②布留の社頭
「布留の社頭の場」
姫を追う園原求女、
求女を追うお三輪が出会う場所。
(実は姫は、天下を握ろうとしている
蘇我入鹿の妹、橘姫。
園原求女は、入鹿と対立する
藤原鎌足の息子淡海。)
布留の社とは、
石上(いそのかみ)神宮。
この場面は
「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」
として、単独でも上演されることがある
舞踊の名場面です。
③三笠山
「三笠山御殿の場」
ここで、お三輪は
悲劇的な最後を迎えます。
橘姫も命を落とし、
二人の犠牲で入鹿は討伐されます。
三輪山から三笠山まで、
直線でも20㎞近くありそうです。
橘姫のようなお姫様が、
供も連れずに歩いて来る
ような距離ではないと、
現在の私たちは考えますが…
この物語は、
三輪山伝説に基づいた趣向が
取り入れられていますので、
ファンタジーの要素が
あっていいのかもしれません。
「三輪山伝説」、こちらのサイトが
詳しいです。
三笠山、そのふもとの
奈良公園にたくさんいる鹿。
本作では、蘇我入鹿には
白鹿の血が入っていると
されています。