国立劇場10月の歌舞伎公演。
「妹背山婦女庭訓」。
お三輪のくだりである、
「道行恋苧環」、「三笠山御殿の場」、
それから、普段は出さない
「奥庭、入鹿誅伐」が上演されます。
〈あらすじ〉
三笠山にある蘇我入鹿の御殿へ、
藤原鎌足の使者として漁師鱶七が
書状を持って訪れます。
入鹿の臣下になると記した鎌足の書状を
入鹿は信用せず、
鱶七を人質にしてしまいます。
ほどなく杉酒屋の娘お三輪が、
恋い慕う隣家の若者、
烏帽子折求女の着物の裾に付けた苧環の白糸を辿って御殿へ迷い込みます。
そこでお三輪は意地悪な官女達に
なぶられた挙句、
求女が入鹿の妹の橘姫と祝言を挙げたと
聞いて嫉妬に狂い逆上し、
奥へと踏み込もうとしますが、
突然鱶七に刺されてしまいます。
実は鱶七の正体は…。
〈歌舞伎公式総合サイト
「歌舞伎美人」より〉
可憐で一途な
造り酒屋の娘、お三輪。
恋い焦がれる求女は、
藤原鎌足の息子
藤原淡海でした。
お三輪の恋は実らず、
政治の渦に巻き込まれ、
命を落とします。
菊之助丈のお三輪は、
2回目だそう。
(前回、新橋演舞場の舞台、
見ました。)
より自然に、
お三輪の心情に寄り添って
演じられています。
梅枝丈の求女。
先月の雛鳥とは変わり、立役。
優しげな気品の中に
強さを秘めています。
芝翫丈の漁師鱶七実は金輪五郎。
そこに居るだけで、
舞台に大きさが広がります。
米吉丈の橘姫、華やかです。
(彼が18歳のとき、おそらく
初めての大人の役を、
この国立大劇場で見ているので、
感慨深い…)
現・国立劇場最後の舞台で、
父、歌六丈の蘇我入鹿との
共演もうれしいです。
菊五郎丈の休演が残念。
千穐楽までに何とか、
お出になられないでしょうか。