歌舞伎座八月納涼歌舞伎、
「安政奇聞佃夜嵐
(あんせいきぶんつくだのよあらし)」。
〈あらすじ〉
安政5(1858)年の初冬、人足寄場で
苦役の日々を過ごす青木貞次郎と神谷玄蔵。
元は甲州の侍であった青木は、
武田信玄の埋蔵金を巡り殺された両親の仇を
捜しています。
その思いを知る神谷は青木を焚きつけ、
島抜けを計画。二人は佃島から隅田川を渡り、
泳ぎが苦手な神谷も青木に助けられ、
ともに脱獄を果たすのでした。
路銀調達のため悪事を重ねる二人でしたが、
神谷と別れ故郷甲州へと向かった青木は
笛吹川の渡し場で渡し守の義兵衛一家と出会い…。
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
(佃島人足寄場を脱出し、
隅田川を泳いで渡る二人…を
ノリノリで実演する
幸四郎さんと勘九郎さん。)
この作品は、
明治の初めに実際に起こった
脱獄事件をもとに、
時代設定を安政年間(1855~60年)として
創作されたもの。
初演は大正3(1914)年、
作者は古河新水(十二世守田勘弥)。
今回は35年ぶりの上演になるそうで、
戦後では4度目の上演という珍しい作品。
舞台は、
「佃島寄場飯焚所~同 構外」
⋅⋅⋅佃島の描写と島抜け(脱獄)。
「深川南部河岸~御船蔵前の飯屋」
⋅⋅⋅脱獄した二人の道中、
そして、神谷玄蔵の本性が現れる。
「甲州碓氷川船頭義兵衛住居
~甲州信玄金鉱の洞穴前」
⋅⋅⋅青木貞次郎が妻子と出会い、別れる。
大正時代に作られたということで、
いわゆる「世話物」とは違う、
生々しい感覚もある作品でした。
いわゆる「名作」ではないのですが、
役者さんの個性や工夫で、
面白く見せることができる作品。
配役や物語の感想は次に掲載。