歌舞伎座、六月大歌舞伎にて上演された、
「猪八戒」を視聴しました。


現⋅猿之助の曾祖父、
二代目猿之助(初代猿翁)が作った舞踊劇。

初演から実に95年が経っているそう。

「澤瀉十種の内」に数えられる演目
ですが、初演以来歌舞伎の本公演で
上演されることはなかったそうです。
(舞踊会などでは上演されたもよう。)

初演当時(大正)、
モダンなものを先取した二代目猿之助。

その雰囲気が随所に残る、舞踊劇。

〈あらすじ〉

 通天河のほとりに祀られた魔神・霊感大王は、毎年村から生贄を献上させ、人々を困らせていました。
 三蔵法師一行は、猪八戒に女の童の姿をさせ生贄の身代わりとし、大王を退治することに。しかし八戒は大王を待つうちに酒を飲み酔っぱらってしまいます。そこへ恐ろしい形相の霊感大王が現れ…。
 人気作「西遊記」を題材に、初代市川猿翁が大正15(1926)年に初演した舞踊劇。コミカルでどこかとぼけた様子の振りを見せる猪八戒や、個性豊かな登場人物による、激しくスピーディーな立廻りも眼目です。
 歌舞伎座の本興行では初演以来、実に95年ぶりの上演。
   〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉

「西遊記」の登場人物で
もっとも有名なのが孫悟空でしょうが、
脇役的な猪八戒を主人公にしたところが
ひねっていると思います。

原作では孫悟空が男の子に、
猪八戒が女の子に化けますが、
本作では、猪八戒に絞っています。


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童女に化けた猪八戒。
髪には花を着け、
可愛らしい姿の猿之助丈。

しかしすぐに地が現れ⋅⋅⋅

霊感大王へのお供えの酒を
飲み、したたかに酔います。

現れた霊感大王とのやりとり。
最初はコミカルに、
しかし徐々に激しさを増します。


対する霊感大王の猿弥丈。
恰幅がいいですが、身体能力が高い。
猿之助丈と互角に踊ります。


霊感大王の手下である
女怪(笑也丈、笑三郎丈)や
小怪たちも加わり、
激しくも鮮やかな立ち回り。


小怪のメンバーのうち、
4人は歌舞伎役者ですが、
残りの4人はアクション俳優、
スタントマンの方のようです。

今回のこの演目は、
アクションや衣装など
他分野とコラボレーションしており、
これまでのスーパー歌舞伎Ⅱなどでの
人脈も活かした成果のようです。