歌舞伎座九月大歌舞伎。
 
第一部は六世中村歌右衛門二十年祭、
七世中村芝翫十年祭として
追善公演が行われました。
 
 
 
今回は、「お江戸みやげ」を視聴。
 
倹約家でお金の勘定が大好きなお辻。
お酒好きで享楽的なおゆう。
 
ふたりは常陸の国結城の在。
年に一度江戸の町にやって来て、
紬を売り歩いています。
 
 
お辻は、七世中村芝翫の次男である、
当代の芝翫丈が演じました。
普段は立役ですが、
女形だった父が大好きだったという
この役に挑みました。
 
おゆうは、七世芝翫丈の孫に当たる、
勘九郎丈が演じました。
台詞や声が父勘三郎にそっくり。
 
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〈あらすじ〉
梅の花ほころぶ湯島天神。
茶店では、常磐津文字福と角兵衛獅子の兄弟が
和やかに話をしています。
そこへ入れ違いにやって来たのは結城紬の行商人、
倹約家のお辻と金勘定にも大らかなおゆう。
おゆうに誘われ、
江戸みやげにと見物した境内の宮地芝居で、
お辻は人気役者の阪東栄紫に心奪われてしまいます。
すっかり舞い上がってしまったお辻は、
その晩、栄紫と対面。
しかし栄紫には、強欲な文字辰が
妾奉公へ出そうとしているお紺という恋人がいて…。
果たして、お辻にとっての“お江戸みやげ”とは…。
 
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
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阪東栄紫の七之助。
お辻の真心を受け止める
誠意を感じさせました。
 
お紺の莟玉。
はっきりした物言いの
江戸下町の娘。
莟玉さんのこのような役は初めて。
 
 
先代中村芝翫丈の「お江戸みやげ」、
見ています。
1991年3月歌舞伎座。
このときのお紺は、
児太郎時代の現⋅中村福助丈でした。
福助丈は、このお紺のような
闊達な町娘は得意でした。
 
現在も病気の後遺症と
向き合っているという福助丈は
今回、常磐津文字福という
特別な役で出演しています。
 
 
最後に、お芝居の舞台である
湯島天神。
今はビルに囲まれていますが、
幕切れのシーンでは、
夕闇に浮かぶ
上野寛永寺方面の風景が美しいです。