八月花形歌舞伎
「源平布引滝ー義賢最期」視聴。
 
 
 
〈あらすじ〉
 
平家全盛の時代。源氏再興を密かに願う
木曽義賢は、病で館に引きこもっています。
その館に、百姓の九郎助が
娘の小万、太郎吉親子を連れ、
小万の出奔した夫の奴・折平を訪ねてきます。
一方、折平が平家方から追われている
源氏の武将・多田蔵人であることを見抜いた義賢は、
平家打倒を志す本心を打ち明け、
折平に思いを託します。
そこへ平清盛の使者が来訪し、
義賢の平家方への忠誠心を試そうとしますが…。
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
 
 
「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)」は、
現在この、「義賢最期」と、「実盛物語」の2つが
それぞれ上演されます。
 
本作「義賢最期」では、木曽義仲の父、義賢の
平家打倒への思いと、
壮絶な最期が描かれています。
 
 
 
幸四郎丈の義賢。
このような時代物の大役に、
重厚さが感じられるようになりました。
 
隼人丈の折平実は多田蔵人。
幸四郎丈と並んで遜色ない舞台姿、台詞。
 
子役の太郎吉は、この収録では、
小川大晴さん(梅枝丈の長男)でした。
祖父、九郎助に背負われての大活躍。
(九郎助の錦吾丈も、大変な役。)
 
廣太郎丈の進野次郎。
義賢を後ろから捉えたところで、
逆に刺されてしまいます。
義賢と串刺しの、これもまた壮絶な役。
廣太郎さんの芸風は何となく愛嬌がにじみ、
逆に、哀切な最期です。
 
 
この演目は、様式美にあふれた立廻りが
見どころのひとつです。
 
瀕死の義賢を中心に、
どちらかと言えばゆったり目の立廻り。
 
コの字型に組んだ戸板の上で
立ったまま演じる「戸板倒し」が眼目。
 
 
たくさんの軍兵が活躍しますが、
この春に初舞台を踏んだという、
中村蝶也くん、市川河松くんの姿も
目に留まりました。
 
彼らは国立劇場歌舞伎養成講座の24期生。
義務教育終了後すぐに養成所に入り、
2年間の研修を終えたばかりという
若い役者さん達です。
 
清々しくも、堂々とした舞台姿⋅⋅⋅
 
先輩達から多くを受け継ぎ、
今後の歌舞伎を盛り立ててくれること、
期待しています。