歌舞伎座六月大歌舞伎、
「御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」
視聴。
 
 
〈あらすじ〉
御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)
大らかで豪快な、もう一つの勧進帳
兄頼朝と不和になり、都を落ち行く源義経は、
武蔵坊弁慶ら家来とともに山伏に姿を変えて
奥州平泉を目指します。
 
その道中、一行は加賀国安宅の関で
関守の富樫左衛門と斎藤次祐家らの
詮議を受けます。
 
主君を命懸けで守ろうとする
弁慶の忠義心に心打たれた富樫は、
義経一行と見破りながらも通過を許しますが、
斎藤次の疑いは晴れず…。
 
弁慶が番卒の首を次々と天水桶に投げ込み、
金剛杖で芋を洗うような動きを見せることから、
通称「芋洗い勧進帳」とも呼ばれる
豪快な荒事のひと幕。
 
歌舞伎十八番の『勧進帳』より
以前につくられた作品で、
怪力無双の弁慶が
稚気に富んだ泣き姿を見せるなど、
古風で大らかな
江戸歌舞伎の味わいあふれる舞台。
 
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
 
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歌舞伎十八番「勧進帳」の
パロディのような内容ですが、
〈あらすじ〉にもある通り、
成立年代はこちらが古いです。
 
*歌舞伎十八番「勧進帳」⋅⋅⋅1840(天保11)年
*「御摂勧進帳」⋅⋅⋅1773(安永2)年
ちなみに原典である能の「安宅」は、
室町時代に成立したそう。
 
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芝翫丈の弁慶は
大きく、悠々とした存在感。
 
 
黄色と赤の衣裳、
はちまきが印象的な番卒たち。
 
勧進帳を読み上げる弁慶にかかったり、
弁慶を縛り上げたり、大活躍です。
 
最後には何と、大力の弁慶に
首を引き抜かれてしまいます。
 
そんな場面でも、凄惨さがないのは、
「駄首」のおかげ。

「駄首」について、
中村橋吾さんのブログで触れられています。
橋吾さんは、後見として
かいがいしく弁慶のお世話。
しかしながら最後は、
ご自身も首を引き抜かれてしまうのでした。


「駄首」とは、小道具の首ですが、
ぬいぐるみのように作られているようです。
ひとつずつ違う、
コミカルな表情になっています。

その首を天水桶で洗う、
豪快な姿を見せることから、
「芋洗い勧進帳」とも呼ばれています。


収穫した泥つきの里芋を樽に入れて、
束ねた2本の棒で洗う様子を、
実際に目にしたことがある人も、
少なくなっているのではないでしょうか。

私がまだ幼い頃、
近所の庭先で見たことがあります。