今日で8月は終わり。

夕方から小雨がぱらつき、
気温が少し下がり、
ずいぶん過ごしやすいです。

虫の声、今年初めて聞きました。
いつもは旧盆の頃には聞くのですが⋅⋅⋅


今月見た、この映画の記録です。
「東海道四谷怪談」(1959年)。


四谷怪談を元に
いくつかの映画が作られましたが、
怪談映画の最高傑作と言われる本作品。

なにぶんにも古い作品のため、
知っている俳優は天地茂、池内淳子の2人のみ。


天地茂氏は後のテレビ、
「江戸川乱歩の美女シリーズ」の
明智小五郎役が有名。

よく再放送されていましたが、
退廃的な雰囲気があり、
子どもは見てはいけないような気がしました。

歌舞伎での民谷伊右衛門は、
どこまでも手強い悪役ですが、
本作での伊右衛門はもう少し繊細な雰囲気。

ニヒルで冷たいところはありますが、
武士らしいたたずまいを見せます。

お岩さまに毒薬を渡すところ、
仇討ちの二人に追われ
「お岩、すまなかった。」と
悔いるように呟くところ、
歌舞伎の伊右衛門とは異なった、
人間らしい魅力があると思います。


さて、この物語の冒頭ですが、
芝居小屋の風景から始まります。

三味線の音にのった、義太夫風の語り。
黒衣が差し金で操るろうそくの面明かり。
おどろおどろしいことが始まりそう。

芝居小屋の定式幕と座紋は、中村座のもの。
歌舞伎の「東海道四谷怪談」、
初演は中村座だったそうです。
(この写真は、平成中村座で撮影しました。)


この映画では、
歌舞伎の物語をほぼなぞっていますが、
いくつか異なるところも。

・赤穂浪士、忠臣蔵の物語ではないこと。

・お岩さまと不義を言い立てられ、
戸板の両面にくくりつけられるのは、
歌舞伎では小仏小平だが、本作では宅悦。

・お岩さまの妹お袖の許嫁、佐藤与茂七は、
伊右衛門により滝に突き落とされるが、
後に回復して、お袖と共に敵討ちをする。


伊右衛門に恨みを持ち死んでいった
お岩さまの怖さよりも、哀れさが⋅⋅⋅
また、悪になりきれず、後悔の中で
病んでいく伊右衛門の弱さが、
印象に残りました。



子どもの頃、
小学校低学年の頃だと思うのですが、
町内のお寺で「四谷怪談」の映画を
上演したことがありました。

友達に見に行こうと誘われ
母に相談したところ、
当然「子どもはそんなの見ちゃだめ。」と
反対されました。

止められて残念に思うよりも、
逆にほっとした覚えがあります。


あの頃の子ども達は、
「四谷怪談」のお岩さまはもちろん、

「いちま~い、にま~い」と
皿の数を数えるお菊、
(播州皿屋敷、番町皿屋敷)

「カラ~ン、コロ~ン」と
下駄の音を鳴らしてやってくるお露、
(怪談牡丹灯籠)
など、知っていました。

今の子ども達は、
おそらく知らないでしょう。