歌舞伎座二月大歌舞伎昼の部、
観劇の記録。(2020.2.2)その②
「菅原伝授手習鑑ー道明寺」
開幕前、花道には所作台が敷かれました。

舞踊では所作台が敷かれることが多いです。
舞踊以外のお芝居で
所作台が敷かれるのは、
どんな演目なのかちょっと気になりました。
この演目は、
高貴な道真公がお通りになるからでしょうか。
〈配役〉
「道明寺」あらすじ
時平の陰謀で大宰府へ流罪となった菅丞相は、
船出を待つ間、伯母覚寿の館に立ち寄ります。
ここには覚寿の実の娘である
苅屋姫も匿われていますが、
覚寿は丞相流罪のきっかけとなった娘に
丞相への対面を許さず、苅屋姫をうち据えます。
そこへどこからか聞こえてくる丞相の声。
その声の主は、
なんと丞相が彫り上げた自らの木像でした。
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
⋅⋅⋅時平の更なる命を受けて、
菅丞相の身をさらおうとする、
土師兵衛、宿禰太郎親子。
宿禰太郎の妻である、
覚寿の長女、立田の前は、
夫と舅を諌めますが、
逆に殺されてしまいます。
偽の迎えによって出立した丞相は、
実は魂の入った木像。
土師兵衛たちの企みは露見し、
悪は滅びます。
やがて、
本当の使者である判官代輝国とともに、
太宰府に旅立っていきます。
上演時間2時間弱の長い物語ですが、
見どころが多く、
過ぎてしまえばあっという間。
玉三郎丈の覚寿。
玉三郎丈には、美しく若い役が似合いますが、
このような「老け」の役も
好んで演じられているようです。
一座の中の自分の役割、
芸の伝承などを十分に考えてのことでしょう。
一家の主としての重み、
手強さを十分に感じられる覚寿でした。
千之助の苅屋姫。
役者としても、白い化粧の下に
自分の顔が透けて見えるような初々しさ。
(経験のまだ浅い女方を見ると、
いつもそう思います。)
まだ少々ぎこちないところがありつつも、
清楚な、可愛らしい姫でした。
この役は、父、孝太郎が長く勤めたもの。
もちろん父から習ったのでしょうが、
女方の大先輩である玉三郎丈の目も行き届き、
千穐楽までにまだまだ進化するのでは、
という伸びしろを感じます。
菅丞相の仁左衛門。
神がかった木像の丞相。
それだけに、後の本物の丞相出立には、
より生身の人間らしい思いがこもります。
追いすがる苅屋姫を
振り切るように立ち去る丞相。
もう、生きては会うことのできない
親子ですが、最後の最後には、
苅屋姫は許されたのだな
と感じることができました。