「祇園祭礼信仰記ー金閣寺」に登場するねずみ。
雪姫の縄を噛み切った後、
花吹雪に変わってパッと消えます。
黒衣の後見が差し金で操作しますが、
内側に花吹雪を仕込んだ
からくりがあるようです。
以前、歌舞伎座ギャラリーで
展示されていたのを撮影しました。
「祇園祭礼信仰記ー金閣寺」あらすじ
天下をもくろむ松永大膳は、
将軍の母慶寿院尼を金閣寺の2階に幽閉しています。
そこへ敵方から投降してきた此下東吉がやってきて、
機知に富んだやりとりで大膳に召し抱えられます。
一方、絵師狩野之介直信とその妻雪姫も幽閉されており、
大膳は雪姫に金閣寺の天井に龍を描くか、
さもなくば我が意に従うよう迫りますが、
雪姫がそれを拒んだため桜の木の幹に縛り付け
直信には処刑を言い渡します。
嘆き悲しむ雪姫は祖父雪舟の故事を思い出し、
降りしきる桜の花びらを足でかき集め、
つま先で鼠を描き…。
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
雪姫がつま先で桜の花びらをかき集め、
鼠を描く件は「爪先鼠」と呼ばれ、
この演目の最大の見せ場。
両手を縛られ、夫は刑場に引かれて行き⋅⋅⋅
という極限の状況で、
雪姫の強い思いが奇跡を生みます。
歌舞伎の女形にとって、
技巧、気持ちの思い入れを要しますし、
見た目の美しさ、華やかさも大切な役。
この「金閣寺」という演目、
人気があるようで、
近年は毎年のように上演されています。
近くは12月の京都顔見世で、
中村壱太郎丈が演じていました。
私が直近で見たのは、
平成30年9月の中村児太郎丈。
このときは、
父福助丈が約5年ぶりに
歌舞伎座に復帰した舞台でした。
平成28年3月は、中村雀右衛門丈。
襲名披露公演でした。
今月、新橋演舞場では
片岡孝太郎丈が演じています。
しっとりと落ち着いた、いい雪姫でした。