秀山祭九月大歌舞伎「極付幡随長兵衛」、「お祭り」、
観劇の記録。(9月15日分)

「極付幡随長兵衛」
舞台はまず、江戸村山座から。
「金平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」
という劇が上演されています。
金平は種之助。
赤く塗った顔が映えます。
力一杯、小気味良い。
児太郎、芝のぶ丈も舞台上の役者の役。
白柄組に舞台進行を邪魔されての
困惑ぶりが楽しい。
この劇中劇の趣向は楽しく、
この続きも見てみたいほど。
しかし、白柄組の横暴は止まず、
客席から幡随長兵衛の登場。
幸四郎さんがとうとう長兵衛を⋅⋅⋅
と感慨深いです。
(この登場のタイミングを私、忘れており、
1階客席から拍手が起きたので気づきました。)
この場の幸四郎丈の長兵衛、
台詞回しが吉右衛門丈にそっくり。
松緑の水野十郎左衛門、
松江の渡辺綱五郎の登場。
松江丈のこの役は、
おっとりとした武士らしく
「長兵衛きっと覚えておれよ。」
という台詞も効いていました。
この役は、近藤登之助として、
後の場と同じ役者が演じる場合と、
渡辺綱五郎という名で、
別な役として登場する場合があるようです。
(役者さんの都合だとは思うのですが、
なぜだろう?)
続いて長兵衛家の場。
血の気の多い子分たちのやり取り。
子分たちの中でも、
宗之助丈はひときわ落ち着いた雰囲気。
廣太郎、廣松兄弟も並んで。
出尻(でっちり)の歌昇丈。
愛嬌があり、良いのではないでしょうか。
(この役は父、又五郎丈も持ち役でした。)
女房お時は雀右衛門丈。
出すぎず、しっとりと。
弟分の唐犬(とうけん)は、錦之助丈。
なかなかに凄みもありました。
初役の幸四郎長兵衛を皆で盛り立てる、
チームワークを感じました。
水野邸では、十郎左衛門・近藤登之助と、
長兵衛との台詞の応酬。
ふと、この長兵衛と水野の配役は、
逆でも良かったのでは⋅⋅⋅と思いました。
湯殿の場面で長兵衛に掛かる諸士は、
音之助、梅秋、京純、
松悟、又紫郎、芝喜松の皆さん。
「お祭り」
鳶頭⋅⋅⋅梅玉
芸者⋅⋅⋅魁春・梅枝
梅枝丈が加わるのは珍しい。
老練なお二人にはさまれても、
見おとりせず立派。
梅玉丈はにこにこ、
ご機嫌でふんわりと楽しそう。
芸者たちに勧められて打つ
太鼓のリズムもゆるい感じで、
見ているこちらも、
肩の力を抜いて楽しめました。
「若い者」の皆さんの
立ち回りの見せ場もあり。
清元は、延寿大夫でした。