流麗な清元の曲に沿って繰り広げられる、
「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」、
通称「かさね」。

今月は歌舞伎の巡業公演で、
各地を回っています。

猿之助のかさね、
幸四郎の与右衛門という魅力的な配役。

月末の観劇に備えて、歌詞の予習です。

* * * * * * * * * *


〽思いをも心を人に染めばこそ
遅れ先立つ二道を

心中を約束した
腰元かさねと、同じ家中の与右衛門。
しかし与右衛門が出奔したため、
かさねは後を追い、
木下川(鬼怒川)堤までやって来ました。


〽同じ思い 後先の
わかちしどけも夏紅葉
〽男にちょうど青日傘
骨になるとも何のその

青日傘(絹張りの日傘)
を手にした、美しい腰元姿。


〽もし追手かと身づくろい
こころ関屋も後にして
木下川堤に着きにけり

ようやく
与右衛門に追い付いたかさね。
諦めて帰るよう勧める与右衛門に、
思いの丈をかきくどきます。
(与右衛門はかさねに対し
後ろ暗いところがあるようで、
疎ましく思っているようです。)


〽言う顔つくづくうちまもり
ひょんな縁でこのように
ついこうなった仲じゃゆえ
〽もったいないことながら
去年(こぞ)の初秋 盂蘭盆に
祐念様の御十念
そのときふっと見初めたが
〽ほんに結ぶの神ならで
仏の庭の新枕
初手から蓮の うてなぞと

二人の馴れ初めを語る、かさね。


〽奥の勤めの長局
役者贔屓の噂にも
どこやら風が成田屋を
お前によそえて楽しむ心

初演の与右衛門は七代目團十郎。
それにちなみ「成田屋」。


いれぼくろ いれぼくろ
起請誓紙は反古にもなろが
五月六月(いつきむつき)は
満更反古にもなりゃせまい

かさねは与右衛門の子を
身ごもっているのです。


〽深き心を白玉の
露の命を我ゆえに⋅⋅⋅

一旦は与右衛門の心も緩んだかのよう、
一緒に心中しようという話になりますが⋅⋅⋅


⋅⋅⋅ここまでが前半。
美しい かさねの踊りを楽しみます。
しかし後半は、一転して怪談風味に。

長いですので、続きはまた。