エゴノキ。

林の下で、夕方の風に揺れていました。

小さな花なので、
見過ごしてしまうところでした。
こうして、
吊り下がって咲く様子も可愛らしい。

今日はあまり感じませんでしたが、
芳香のある花。
そのためか、大きな蜂が
周りを飛び回っていることもよくあります。
このエゴノキの実は、
水につけると泡立つ性質があり、
古来から石鹸として使用されたそう。
エゴノキは、別名「ちさ(萵苣)の木」と言うそう。
歌舞伎「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」、
「足利家御殿の場」、通称「まま炊き」に登場します。
敵方から若君を守る、乳母政岡。
食事に毒が仕込まれているとの疑念から、
茶道具でご飯を炊いて若君に差し上げる日々。

ご飯が出来上がるまでの間、
若君をなぐさめるため、
一子千松に、「雀の歌」を歌うよう命じます。
〽こちの裏のちさの木に ちさの木に
雀が三匹止まって⋅⋅⋅
一羽の雀の言うことにゃ⋅⋅⋅
そこまで歌うと、
千松は空腹のため絶句してしまいます。
母、政岡に叱りつけられ
涙ながらに続きを歌う千松。
本筋とはあまり関係がないためか、
端折られることも多い場面ですが、
この部分があると
千松の悲劇がさらに浮かび上がります。
(その後、千松は
若君を救うために殺されてしまいます。)