国立劇場「通し狂言 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)」。

千穐楽の今日、観てきました。

国立劇場にも宙乗りの設備があったとは、
あまり考えたことがなかったです。

宙乗りのため、
2階席の一角が、使用不可に。
「中村吉右衛門 宙乗りにて
つづら抜け相勤め申し候」
この年齢になっての挑戦、驚きでした。
盗賊の首領として有名な石川五右衛門。
現在よく上演されるのは、
「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」。
ほんの15分ほどの短い幕ですが、
歌舞伎の粋を凝縮したような舞台。
先月の歌舞伎で、吉右衛門丈が演じました。
しかし、かつてはこの作品以外にも、
多く取り上げられてきたようです。
今回の「増補双級巴」はそういった作品の
いいところをつなぎ合わせた、
まさしく「増補」版。
吉右衛門丈の祖父である初代吉右衛門は、
五右衛門を数多く演じてきたそう。
以来演じる人はあまりいなかったようで、
途絶えた演目になっていました。
三世實川延若が宙乗りのつづら抜けを演じ、
その部分のみ、上演されてきたようです。
(もっとも、海老蔵や愛之助が、
新作脚本で上演した例はあります。)
今回、「壬生村」は70年振り、
「五右衛門棲家の場」は50年振り、
「木屋町二階」に至っては90年振りの復活だそう。
次の「木屋町二階の場」では、
これまでの夢が覚めたという趣向。
前半は時代物、
後半は世話物といった展開になっています。
吉右衛門丈のスケールの大きさ、
情の深さを感じることのできる舞台でした。
