
猿之助の法界坊(隅田川続俤)。
これまでに観た「法界坊」と異なる部分があったので、
メモとして書き残します。
これまでに観た「法界坊」は⋅⋅⋅
1989年 国立劇場 尾上菊五郎
1991年 歌舞伎座 中村吉右衛門
2008年 平成中村座 中村勘三郎
2014年 歌舞伎座 中村吉右衛門
序幕 第一場 向島大七入口の場
ここはほぼ変わらない。
しのぶ売りのおせん(笑野)、おはつ(猿紫)が登場。
この2人はこの後も狂言回し的な役割で登場。
第二場 大七座敷の場
話の流れはほぼ同じ。
法界坊のおちゃらけた動きは控え目。
リアルな感じを受けました。
第二場 向島牛の御前鳥居前の場
この場はこれまで見たものと少し違う流れでした。
有名な「しめこのうさうさ」がない⋅⋅⋅
かどわかしたおくみを隠す
駕籠、葛籠の扱いが異なるようでした。
第四場 向島三囲土手の場
この場も過去に観たものと
異なる部分が多々。
殺された法界坊と野分姫の霊が現れ、
道具屋甚三を引き戻す、
「連理引き」と言う演出がありますが⋅⋅⋅
今回は、
野分姫は要助、おくみを引き戻し、
法界坊は甚三を引き戻していました。
最も違うのは、幕切れの宙乗り。
客席はあっと驚かされていました。
大喜利 隅田川渡しの場
浄瑠璃「双面水澤瀉」
法界坊と野分姫の霊(偽おくみ)の登場は、
舞台中央で、まさしく「双面」を見せます。
花道に行ってからの流れは同じ。
「神田祭」で4人での踊りがあり、
見応えがありました。
偽おくみが本性を現し始め、
おしづが尊像を突き付けると、
苦しみ始め⋅⋅⋅
ここでは吹き替えを出していました。
最後は白地に火炎模様の着付けに、
逆立つ髪の姿になり、
三段に登って幕。
題名は本来は、「双面水照月」ですが、
今回は、「双面水澤瀉」。
おもだか屋のオリジナルのものを、
ということでしょう。
これまでに観た法界坊、
それぞれ多少の演出の違いがありました。
菊五郎のときには、
「双面」の最後に「押し戻し」が付きました。
(先代猿之助も「押し戻し」付きだったよう。)
平成中村座バージョンでは、
大勢の花四天が登場し、
戸板を使った
派手な立ち回りが繰り広げられました。
今後は誰が、どんな法界坊を演じるのか、
という楽しみがあります。