桜餅。
春の香り。
舌ざわりなめらかなこし餡。


歌舞伎には「桜餅」という演目があります。
別名、「忍ぶの惣太」。
本名題は「都鳥廓白浪(みやこどりながれのしらなみ)」。

隅田川の梅若伝説を下敷きに
河竹黙阿弥が作った世話物。

「傾城花子実は松若丸」という、
女性とも男性ともつかない
魅力にあふれた人物が登場します。

〈あらすじ〉
傾城花子 忍ぶの惣太
都鳥廓白浪(みやこどりながれのしらなみ)         
京の吉田家ではお家騒動が起こり、家名は断絶。嫡子松若丸は行方知れずとなります。吉田家の家臣であった忍ぶの惣太は、家宝都鳥の印を探す旅に出ていた松若丸の弟、梅若丸をあやまって殺してしまいます。惣太は都鳥の印を手に入れますが、自分が身請けした傾城花子に、中身をすり替えられ、逃げられてしまいます。花子は実は松若丸で、都鳥の印を探すために、霧太郎と名乗り盗賊になっていたのです。惣太は花子を追ってやってきますが、やがて斬り合いになり…。「梅若伝説」をもとに趣向をこらした河竹黙阿弥の世話物。松若丸が食事をしながら捕手と立廻りをする「おまんまの立廻り」は歌舞伎的なおかしみをふんだんに盛り込んだ場面です。
          (歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より)


歌舞伎を観始めた頃から、
ずっと観たいと願っていた演目でしたが、
2010(平成22)年11月、
新橋演舞場にて観ることができました。

妖しい魅力にあふれた松若丸は、尾上菊之助。
粋でなおかつ実直な忍ぶの惣太は、尾上菊五郎。


ところでこの演目、
なぜ、「桜餅」と呼ばれるのかと言うと、
忍ぶの惣太は、桜餅屋を営んでいるから。

隅田川沿いの、桜餅で有名な長命寺、
程近い三囲神社、
梅若塚のある木母寺など
ゆっくり訪れてみたいスポットです。