今月歌舞伎座では、
「秀山祭九月大歌舞伎」が行われています。

「秀山」とは、先代中村吉右衛門の俳名。
当代の吉右衛門を中心として、
ゆかりの演目が並びます。

中でも夜の部の「ひらかな盛衰記ー逆櫓」。
吉右衛門丈は、
船頭松右衛門(実は木曽の遺臣樋口次郎)を演じ、
スケールの大きな舞台を繰り広げているようです。

今月は観劇の予定が立たず、残念。
以前にこの舞台を見たのはいつだろうと思い返すと、
2010年11月、新橋演舞場でした。
(ちょうど、歌舞伎座建て替え中でした。)

このときの松右衛門は幸四郎丈。
舞台を振り返ると、最後に登場する
畠山重忠の姿を思い出しました。

情け深い捌き役である畠山を演じたのは、
中村富十郎丈。
重厚な台詞回し、存在感が心に残っています。

上演記録を見ると、
富十郎丈はこの月半ばで休演しています。
(もともと、張りのある声の役者さんでしたが、
少しお声が小さく感じたこと、
お体が小さく見えたこと、気になっていました。)

そして、明くる2011年1月3日に
お亡くなりになっています。
私が見た富十郎丈の畠山は、
最期のお役だったようです。


当時まだ小学生だったという
富十郎丈の子息、鷹之資(たかのすけ)。
6年あまりが過ぎ、
この度「春興鏡獅子」を踊るそうです。



踊りもたいへん得意とした富十郎丈。
普段は立役でしたが、
女形舞踊の「春興鏡獅子」は
まさにお手本のような踊りでした。