お堀の石垣の上に生い茂っていた植物。


青々として、縁がギザギザの葉。
山道などでもよく見かけます。

あまり目立たない色ですが、
花が咲いていたので、足を止めて見てみました。



帰宅後、さっそく名前を調べてみると、
カラムシと言うそうです。

「カラムシ織」というのを聞いたことがあります。
この植物の繊維から織った布なのでしょう。

さらに調べてみると、
カラムシは「苧」と書き、
その繊維は「苧麻(ちょま)」と言い、
麻の一種なのだそう。

不勉強なことに私は、
麻とは大麻からとれる繊維と思っていました。
他にも麻の原料になる植物があるそうです。

大麻=ヘンプ
苧麻=ラミー
亜麻=リネン
黄麻=ジュート
洋麻=ケナフ⋅⋅⋅だそう。
英語で言われると、なるほどと思います。


越後上布、小千谷縮といった織物は
カラムシを原料としているそう。
日本では着物の素材としての麻と言えば、
このカラムシなのかもしれません。


歌舞伎の演目、「妹背山婦女庭訓」の、
お三輪、橘姫、求女の道行の段には、
「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」
という名がついています。

小道具として用いられている
糸巻きのような「苧環」とは、
カラムシの糸を巻いたもの、ということになります。

求女(右端)が背に差している
糸巻きのようなものが、苧環。