
<松皮菱に鬼蔦>
今月、新橋演舞場で行われている
「三代目市川右團次襲名披露公演」。
右團次の名跡の復活は、実に80年振りだそう。
初代、二代目の右團次は
早替りやケレンの芸を得意としたそうです。
今回三代目を襲名した右團次さんは、
歌舞伎の家の出ではありませんが、
少年時代から猿翁のもとで修業し、
その芸を身につけてきました。
右團次家のケレンの芸を引き継ぐ
猿翁の芸の継承者であること、
関西出身であることなどが決め手となり、
今回の右團次襲名の運びとなったようです。
市川右團次家、左團次家について
少し調べてみました。
右團次、左團次家の祖は、
四世市川小團次。
幕末に、河竹黙阿弥と組んで、
「鼠小僧」、「三人吉三」、「十六夜清心」など
数多くの作品を世に出しました。

|で示したものは血縁(親子)関係。
:で示したものは血縁関係なし、養子など。
五世小團次
・屋号は高島屋
・明治期に活躍
三世子團次(ねだんじ)
・五世小團次の孫
(最晩年の舞台をいくつか拝見したことがあります)
初世左團次
・高島屋
・四世小團次の養子
・明治期に九世團十郎、五世菊五郎とともに、
「團菊左」と並び称される
二世左團次
・歌舞伎十八番「毛抜」、「鳴神」の復活上演
・新歌舞伎「修善寺物語」、「番町皿屋敷」
三世左團次
・門弟から市川門之助家の養子となり、
左團次の名跡を襲名した
・現、左團次の父
初世右團次
・屋号は高嶋屋
(実兄小團次や義兄左團次に遠慮して、
「嶋」の字を使ったという)
・ケレン、早替りの工夫
・現在、成田屋一門の市川右之助は曽孫にあたる