歌舞伎座での「八代目中村芝翫襲名披露公演」、
いよいよ間近に迫ってきました。

名女形であった、先代芝翫の名の復活です。

立役である中村橋之助さんが、
女形であった父の名を襲名するわけですが、
不思議と違和感なく受け入れられます。

「中村芝翫」という名は、
近世でこそ女形の名ですが、
江戸までさかのぼれば立役の名前。

「芝翫」の浮世絵、大首絵を見た記憶があります。

こちらは、今回の公演のポスター。

「熊谷陣屋」の熊谷直実。
まさに錦絵のような、立派な顔です。

「熊谷陣屋」は現在は
團十郎型で演じられることがほとんどですが、
今回は当然、芝翫型で演じられるようです。
衣装や演出上の違いなど、興味深いです。


このポスターにもある、
眉からこめかみにかけての筋は、「芝翫筋」。
四代目芝翫が工夫したから。

舞踊「供奴」は別名、「芝翫奴」。
二代目芝翫が得意としたから。
(「芝翫奴」は11月に、
新・橋之助、福之助、歌之助によって上演されます。)


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中村芝翫の代々を、さかのぼってみます。

*八代目中村芝翫=中村橋之助

*七代目中村芝翫=八代目の父
今回同時に襲名する、
新・橋之助、福之助、歌之助の祖父。
児太郎や勘九郎、七之助の祖父でもある。

七代目芝翫丈については、
多くの舞台を見せていただき、印象深い。

*六代目中村芝翫=六代目中村歌右衛門の前名。

*五代目中村芝翫=五代目中村歌右衛門の前名。

*四代目中村芝翫=江戸末期から明治の初めに活躍。
立役も女形もこなし、芝翫型の「熊谷陣屋」を遺した。
「大芝翫」と呼ばれる。

*三代目中村芝翫(夭折)

*二代目中村芝翫=四代目中村歌右衛門
「芝翫奴」の芝翫。

*初代中村芝翫=三代目中村歌右衛門
初代中村歌右衛門の子。
狂言作者 金澤龍玉としても活動し、
「雁のたより」などの作品を手掛けた。
「男の花道」のモデルはこの歌右衛門。