久々に、夜の歌舞伎座を見ました。


「義経千本桜」第三部、狐忠信を見てきました。

3階の下手寄りの席、花吹雪が舞い散り、
夢のようなひとときでした。



覚え書きです…。

ーー「道行初音旅」ーー

『恋と忠義はいずれが重い…』の後、
浅黄幕が振り落とされると
静御前が舞台上にいる演出。
『慣れぬ茂みのまがい道…』は踊らず、
すぐに『宇賀の御霊の御社は…』と踊る。

『徳若に後万歳とは…』、
『やしょめやしょめ…』がつく、おもだか屋の型。
ここは、二人の息が合い楽しかった。

染五郎さんの静御前は、
日本人形のようだと思った。
第一部の知盛から、静御前への振り幅は大きい。

おもだか屋の忠信の衣装は、
肌脱ぎになると浅黄の着付けで
すっきりしている。

忠信の後見は、段之さんのようだった。
引き抜き、ぶっ返りなど神経を使っている様子がうかがえた。

猿弥さんの逸見藤太は、
台詞に三部制のことや、
猿之助、染五郎さんのことを織り込んでいた。



ーー「川連法眼館」ーー

川連法眼は誰だろう…と思う間もなく、
「寿猿!」と大向こうが掛かった。

猿之助さんの忠信は、襲名の巡業公演で見た。
(当然、宙乗りはなく、
音羽屋型のように上手の木に登って幕。)

そのときより、忠信も源九郎狐も何というか、
化粧が馴染んでそれらしくなってきたように感じる。
狐言葉をかなり控え目に演じているようである。
(それでも笑うお客さんが何人かいた。)

鼓を賜って喜ぶところから、
悪僧たちをたぶらかすところ、
宙乗りまで、観客の心をぐっと捕らえてしまう。

義経は門之助さん、
鷹揚さと、癇の強さをあわせ持っている感じ。
静御前は笑也さんで、このお二人は絵になる。

亀井は巳之助さん、駿河は松也さん。
そういえば松也さんは、
お正月に浅草で忠信を演じていた。
巳之助さんはそのときに続いての亀井。