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「義経千本桜」~当代市川猿之助の女形。
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今日は、歌舞伎座六月大歌舞伎の中日(なかび)です。

市川染五郎さん初役の知盛は、
大碇とともに、海中へ飛び込む演出。
市川猿之助さんの忠信では、
歌舞伎座が新しくなって初めての宙乗り。

安全に舞台を勤めてほしいと願うとともに、
陰で支える多くの方たちの熱意に頭が下がります。



今月は何と言っても、
猿之助さんの女形が気になります。

「碇知盛」のお柳・典侍の局。
今回が初役であり、
先代雀右衛門丈の型を写しての上演とのこと。

「いがみの権太」のお里。
先代猿之助丈の権太で、何度か演じたようです。


猿之助さんの女形で、私がこれまでに見たものは…
「於染久松色読販」の役々、
「當世流小栗判官」の お駒、
「天竺徳兵衛」の おとわ、
「女團七」の お梶、 くらいですが、
いずれも不思議な魅力がありました。

猿之助さんの亀治郎時代からの、
女形の役々をたどってみました。


子役時代を経て、初めての女形は、
「神霊矢口渡」お舟。

写真は『演劇界・増刊号』(平成3年7月発行)より。

沢村田之助丈に教えを受けたそうです。
当時15歳、かわいさもありますが、
すでに堂々として、出来上がった感があります。

「於染久松色読売」女猿回しお作
「子守」
…上記二つは、歌舞伎座で観劇しました。
踊りの上手な子だなという印象。

…以降は、演じた役のうち、
女形の主なものを抜き出してみました。
残念ながら、私はどれも見ていません。

「當世流小栗判官」お駒
「義経千本桜ー鳥居前」静御前
「梅ごよみ」許嫁お蝶
「国性爺合戦」栴檀皇女
「鳴神」雲の絶間姫…「浅草歌舞伎」初めての出演。
「法界坊」野分姫
「寺子屋」千代
「義経千本桜」お里
「加賀見山再岩藤」おつゆ
「一条大蔵譚」常盤御前
「弁天娘女男白浪」弁天小僧
「新版歌祭文」お光
「仮名手本忠臣蔵」小浪
「源平布引滝」葵御前…2003年、この頃、伯父先代猿之助のもとを離れての活動開始。
「毛抜」巻絹
「加賀見山旧錦絵」お初
「熊谷陣屋」相模
「鳥辺山心中」お染
「外郎売」舞鶴
「義経千本桜ー四の切」静御前
「源氏物語」葵上
「助六由縁江戸桜」白玉
「双蝶々曲輪日記ー角力場」吾妻
「身替座禅」小枝
「春興鏡獅子」弥生
「封印切」梅川
「芋堀長者」緑御前…2005年、勘三郎襲名披露公演。
「NINAGAWA十二夜」麻亜
「蜘蛛絲梓弦」
「仮名手本忠臣蔵ー六段目」おかる
「浮世柄比翼稲妻」お国
「かさね」
「松竹梅湯島掛額」お七
「金閣寺」雪姫
「毛谷村」お園
「一本刀土俵入」お蔦
「女殺油地獄」お吉
「義賢最期」小万
「鬼揃紅葉狩」更科の前…2009年、おもだか屋の演目。
猿之助襲名への伏線なのか、この頃から、立役も含めて
おもだか屋の演目を上演する機会が増えたようです。

他に、自身の「亀治郎の会」で演じた役もありますが、
そちらは調べていません。


こう並べてみただけでも、多彩な役を演じています。
「義経千本桜」のお里や静御前などを除けば、
一度しか演じていない役が多そうです。

今後、絶対に見られなそうな役もありますが、
「鏡山」のお初や「浮世柄比翼稲妻」のお国などは、
ぜひ見てみたい…

今後はやはり立役としての比率が高いのでしょうか。
歌舞伎座の7・8月公演でも、
今のところ女形はないようです。