先週観劇した、團菊祭五月大歌舞伎。
覚え書きです。



昼の部、3階の4列目の席。
やや上手寄りのため、花道の七三が見えます。



「鵺退治」
まず、タイトルの「鵺(ぬえ)」という動物、
台詞で「化生(けしょう)」と言っていますが、
「化け物」くらいの意味なのでしょうか。

私が昔よく読んだ「金田一シリーズ」の、
たしか「悪霊島」でも、この「鵺」がキーワードでしたっけ…
どんな恐ろしげな生き物なのかと想像していましたが…
特撮のウルトラ映画を彷彿させる、
ちょっと可愛らしい仕上がりでした。
…それはさておき



梅玉さんの「源頼政」、魁春さんの「菖蒲の前」のコンビ。
このところ(以前からか…)お二人の共演、
しかもカップルの役が多いですが、
ほのぼのといい雰囲気です。

宮中の衣装を身につけた魁春さん、
美しく風格を感じます。

又五郎さんの家臣の役、
かっちりとした動きで脇を固めています。



「菅原伝授手習鑑ー寺子屋」
この「寺子屋」という演目は、
毎年のように繰り返し上演されています。
そんな有名な演目ですが、
私はこの近年では見ていません。

ずっと以前に、仁左衛門さんの松王丸や
吉右衛門さんの源蔵を見ているはずですが、
あまり記憶にない…。
多分、難しい…というところで
記憶をシャットダウンしてしまっているのかもしれません。

今回、久々に観劇したところ、いろいろ思い出しました。
特に吉右衛門源蔵の台詞回し。

思えばこの演目は、名台詞の宝庫です。
「いずれを見ても山家育ち」
「せまじきものは宮仕え」
「持つべきものは子でござる」等々…。
聞き覚えがありました。



海老蔵さんの松王丸。
海老蔵さんの時代物はこれまでほとんど見たことがなく…
(もう6年も前、新橋演舞場での「四の切」は見ている。)
しかし昨年歌舞伎座で演じた「熊谷陣屋」は、
ほどほど好評だったようなので、
不安と期待を持ちながらの観劇でした。
松王丸の台詞、思ったより安定した発声でした。

首実検のとき、玄蕃が首桶を取って突きつけるのは、
成田屋の型だそうです。
ちょっとバタバタした印象ですが、
見た目に派手な演出です。
亡き父、團十郎さんに教わった演目のようです。

松緑さんの源蔵、ずっと緊張感を保っていました。
追い詰められ、やむなく大事をしでかしてしまうまでの
心の動きが丁寧でした。

梅枝さんの戸浪、眉なしの女房姿が似合う。
夫や周囲への気遣いが、十分伝わってきました。

菊之助さんの千代、母親の悲しみがよく伝わってきました。
黒の着付けの姿、ふっくらとした顔立ちに、
祖父梅幸を思い出させるものがありました。


後半は、また…。