10日ほど前から、花壇のオイランソウが咲き始めていました。


花穂全体が咲き揃ってきました。

オイランソウの名の由来は、その香り。
花魁の使う白粉に似ているということです。

顔を近づけると確かに甘い、
でもどこか すうっとするような香りがしました。


数年前、歌舞伎で「花魁草」という演目がかかりました。
こんなあらすじでした。(当時の『歌舞伎美人』より抜粋。)

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花魁草(おいらんそう)
江戸時代の終わり。安政大地震を生き延びた女郎のお蝶と大部屋役者の幸太郎は、
百姓米之助に助けられた縁で、栃木にある米之助の家で間借りして生活をするようになります。
米之助は二人に所帯を持つように勧めますが、昔、身も心も尽くした男に裏切られ、
暗い過去をもつお蝶は、夫婦になることを躊躇していました。
そこへ、猿若町の座元勘左衛門や芝居茶屋の女将お栄がやってきて、
幸太郎に芝居へ復帰することを勧めます。
二人は江戸へ旅立ちますが...。
巧みな劇作術で人心の機微を叙情味豊かに描く北條秀司の作品。

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2011年8月の新橋演舞場でした。
お芝居の中でも安政の大地震の様子や、
人々が助け合う様子が描かれており、
大震災後の世の中にメッセージ性をもって上演されたようです。

大部屋役者の幸太郎は中村獅童さん、
苦悩しながらもまっすぐで明るい役がはまっていました。
お蝶役は中村福助さんでした。
幸太郎を思うがゆえに身を引く辛さが伝わってきました。
それから、私がよく知る栃木の街の、
「うずま川」や「幸来橋」が舞台なのも印象深かったです。


田舎の間借りの家の庭先に、
幸太郎が植えたのが、この花魁草でした。